来間島で住宅の変容を調査/芝浦工大
人類学、民俗学分野で
芝浦工業大学(東京都)の清水郁郎准教授ら18人が7月24日から、下地の来間島で約50年前から建築されたコンクリート住宅とその生産システムや人類学・民俗学分野で本格的な調査研究を実施している。屋根の雨水をビニールパイプを通して貯水タンクにためて生活用水に使ったり、フクギ防風林を大事に保存している民家などが残っている。9月以降に調査研究の成果をまとめ、後世に記録史として伝えていく。地域住民らは、来間島の貴重な文献資料なるとして積極的に
協力している。
研究主題は「宮古島市来間における住宅と建築生産システム変容」。副題は「地政学的な周縁社会における住宅の現在的様態」。研究委員会の会名は「八重山居住文化研究委員会」。清水准教授は委員の1人で、学生ら17人が参加している。調査期間は11日まで。
宮古では、1959(昭和34)年9月に台風サラ(瞬間最大風速64・8㍍)、66(同41)年9月に台風コラ(同85・3㍍)、68(同43)年9月に台風デラ(同79・8㍍)が襲来し、甚大な被害をもたらした。
大型台風が猛威をふるった影響で、来間島でも茅ぶき屋根木造住宅や赤瓦ぶき屋根木造住宅が相次いで全壊に見舞われた。その後、コンクリート瓦屋根コンクリート住宅、コンクリート住宅に建て替えられた。
94年、同大学建築工学科計画系研究室が同島で初めて調査研究を実施。翌年、来間大橋が開通した。清水准教授らは、59年以後から建設が進められたコンクリート住宅や過去の調査資料に基づく追跡調査、大橋開通後の住宅の変容などを総合的に聞き取り調査している。県教育委員会の和田卓也文化財保護指導員が同行している。
これと並行して住宅と風水方位観、旧住宅と新住宅の間取り比較、東側の御嶽と西側の御嶽との間にある井戸の水の神と神話・祭祀との関係などを調べている。
市によると、7月末現在の人口は172人、世帯数95戸。今回の調査研究では25戸が協力している。
清水准教授は「住民は積極的に協力しており、調査は順調に進んでいる。住民には住生活の維持、向上させる手法の一つを提示したい」と話した。