全便欠航2400人足止め/台風9号
交通機関まひ、観光客足止め/農作物の被害に懸念
非常に強い台風9号が接近した5日、宮古島地方には終日強い風が吹いた。懸念されるのはサトウキビの塩害。5日午後6時現在で当初期待された降水量がないためだ。このまま雨が降らなければサトウキビの生育が阻害される可能性も出てくる。空、海の交通機関は全便が欠航、4日に引き続き多くの観光客が足止めを余儀なくされた。台風9号はゆっくりとした速度で北上している。
■空の便
台風9号の影響で宮古発着の空の便は42便全便が欠航し、約2400人の足に影響があった。航空各社はきょう6日から運航を再開するが、宮古関係は那覇-宮古など計4便が欠航する。
日本トランスオーシャン航空(JTA)は羽田-宮古、那覇-宮古、宮古-石垣の計12便が欠航。1600人に影響があった。同社はきょう6日から運航を再開するが、那覇-宮古の551便と552便を含む計7便の欠航を決めている。
琉球エアーコミューターは宮古-多良間、那覇-宮古、宮古-石垣の計20便が欠航した。影響人数は159人だった。同社はきょう6日、那覇-久米島、宮古-石垣の計8便を欠航。那覇-宮古、宮古-多良間の計3便は遅延で対応する。
全日本空輸(ANA)は那覇-宮古の計12便の全便が欠航した。影響人数は670人だった。
同社は台風の進路を見ながらきょう6日の運航を決定するとしている。
5日の宮古空港は終日閑散。航空各社の社員は利用客のキャンセル待ちなどに対応した。きょう6日は混雑するものとみられる。
■離島航路
非常に強い台風9号の接近の影響で、宮古本島と周辺離島を結ぶ旅客船とフェリーは5日、全便欠航した。約1000人の客足に影響が出た。2日連続の全便欠航に利用客の中にはやりきれない表情を見せる人もいた。
平良港ターミナルビル1階に事務所を構える船会社のシャッターは下ろされて閑散。普段は利用客の多いターミナル内は人影もなかった。各離島とも生活に影響はない模様。
一方、漁民らは2日連続の台風対策に追われ、疲れ気味の表情を見せていた。予断を許さない台風対策を強化していた。
平良-伊良部間では、はやて海運の高速旅客船が22便、フェリー14便が欠航。宮古フェリーが高速旅客船24便、フェリー12便が欠航した。
平良-多良間で運航するフェリーが2便、大神-島尻を結ぶ旅客船の10便がそれぞれ欠航した。
各船会社とも、暴風警報解除の後、天候の動き見てから運航再開を決める見通し。
■農産物
農林水産物で最も懸念されるのがサトウキビの塩害だ。波しぶきが引き起こす塩害を解消できるのはまとまった雨だが、台風の進路変更に伴ってまとまった雨は降らなかった。マンゴーは一部が丸2日間出荷できない状況が続いた。
宮古島地方は、台風の暴風域に巻き込まれることがなかったため、サトウキビの折損や葉の裂傷被害は最小限にとどめられた。
ただ、5日午後6時現在で塩害を解消する雨はほとんど降らなかった。気象台によると、台風の影響による降水量は、平良で5・5㍉、城辺で21㍉。気象台では6日午後3時にかけて100㍉前後の雨が降る可能性はあるとしている。
製糖工場では「折損や葉の裂傷はあまり心配しなくて良いと思うが、塩害は気になる。まとまった雨が欲しい」と期待した。
出荷の終盤を迎えているマンゴーは、空、海の便ともに欠航しているため、商品を島外に運べない状態が丸2日続き、品質の劣化が懸念されている。
産地協議会の砂川政文副会長は「9割は出荷を済ませているが、収穫を遅らせている農家は大変ではないかと思う。少しでも早く運航が再開することを期待している」と話した。
■池間・来間大橋
非常に強い台風9号の接近に伴う暴風警報発令を受け、県は5日正午すぎ、池間島と宮古本島を結ぶ池間大橋入り口を閉鎖し通行止めにしたが、同日午後6時すぎに解除した。
池間大橋を管理する県は風速25㍍以上が観測された場合は、大橋を閉鎖することになっている。
解除に伴い、県職員らは広報車で池間集落内のパトロールを行い、通行可能を伝えた。
一方、市道路建設課は5日午前11時すぎ、来間島に渡り、住民全てが帰島していることを確認、正午に来間大橋を通行止めにした。宮古島地方気象台は同日午前6時15分に暴風警報を発表。午後5時20分にこの警報を解除した。同課は午後5時45分、来間大橋の通行止めを解き、約6時間ぶりに通行が再開した。
来間大橋の通行止めは、県土木事務所が所管する池間大橋に合わせて行われた。