塩害でキビ立ち枯れ/伊良部
海岸近くの畑被害/台風9号影響
今月上旬に接近した台風9号の影響で、伊良部島のサトウキビが広範囲にわたって塩害を受け、10日からキビへの灌水作業が本格化している。全域でスプリンクラーが未整備のため、茶色の立ち枯れが拡大しているという。市では、今後も灌水を継続する方針。今週は恵みの雨は期待薄とされ、農家は心配している。
台風9号が北~北西の風で吹いたことからは、塩害は北側の白鳥海岸部から西側の佐和田漁港の海岸部にかけて広がった。近くのキビ畑での被害が顕著だ。灌水作業は、海岸寄りのキビ畑を優先に展開されている。被害面積は調査中。
この日は、トラック5台がフル稼働で灌水作業に追われた。貯水タンク(10㌧容量)1台を積載したトラックは、農業用貯水池から吸水。トラックの上部に設置された給水銃を使って灌水した。1回の灌水で、市が2000円、受益農家は1000円を負担している。
宮古島地方気象台によると「向こう一週間は、太平洋高気圧に覆われるため、雨の降る確率は低い」と予想している。16日が晴れ、17~22日までが晴れ時々曇り。
伊良部島に隣接する下地島では塩害は少なかったとされる。7月中旬から異常発生していたトノサマバッタは農薬散布で大量に駆除された。まだ局地的に幼虫が確認されていることから、予断を許さない状況。
市伊良部農林水産室の村田正憲室長は「今後の立ち枯れ拡大が心配。キビ生産農家から灌水の要望は多いが、被害が目立つキビ畑から急いで灌水を進めている」と語った。