キャーンで伝統の綱引き/上野宮国
「東軍」勝ち、今年は豊作
旧盆(ストゥガツ)の「送り日」に毎年、上野字宮国で行われる伝統行事「宮国の大綱引き」が14日夜、宮国公民館前の通りで盛大に行われた。地域住民らが「東軍」と「西軍」に分かれ、大きな掛け声で大綱を力一杯引き合った。今年は2勝1敗で東軍に軍配が上がり、豊作が約束された。昔は子供たちが綱を編んでいたが、少子化で今は地域の大人たちが中心になって編み上げている。また、綱の材料となる「キャーン(シイノキカズラ)」が年々減少、綱に必要な材料を地域内だけで集めることが難しくなってきている。
午後9時30分ごろから、始まりを告げるホラガイと鐘の音が集落内に鳴り響くと地元の人や旧盆で里帰りした人、観光客らが続々と集まり、公民館前の道路は熱気に包まれた。
綱引き前の踊りを舞った後、東西の綱を結び合図と同時に試合開始。威勢良い掛け声を上げながらた汗だくになって綱を引いた。
綱引きが終わると、大綱を御嶽に奉納した。「デーロイ」と呼ばれる東西での押し合い勝負をして、最後はクイチャーで締めくくった。
宮国自治会の宮国硬会長は「先祖から受け継いだ伝統行事なので、これからも集落で守り続けていきたい」と話した。
宮国の大綱引きは1995年、旧上野村の無形民俗文化財に指定された。豊穣を祈願する祭りだが、起源は定かではない。農作物の収穫を祝い、祈願する御願綱。