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産業・経済 社会・全般
2011年8月25日(木)9:00

トラック1台キビ潅水料金/宮古は伊良部より500円高

農家負担の違いで不満の声


 宮古地区トラック事業協同組合(奥濱貞夫理事長)は宮古や来間、池間島のサトウキビへの大型トラックによる潅水料金を1台(10㌧)当たり3500円に設定。先行している伊良部地区では同組合伊良部支部(下地利一支部長)が、1台3000円で実施している。市の補助金は両地区ともに1台2000円だが、農家負担金は料金の差異により伊良部が1000円、宮古島が1500円と宮古島が高い。農家負担について宮古島の一部の農家からは「伊良部と同じ金額にすべき。伊良部と比べて宮古島には給水施設が多く畑と往来する燃料費は安くつく。道路事情にも恵まれており、高い料金はおかしい」と不満の声が出ている。宮古島などでの潅水は、26日から実施する予定。仮に予定通りの場合「不平等」との批判は避けられないとみられ、組合の譲歩が求められそうだ。料金設定までの経過を追った。


 市農林水産部は、6月17日に今年最初の干ばつ対策会議を開いた。市はトラック組合に例年通りの1台3000円の料金設定を要請。市の職員は料金を決める翌18日のトラック組合の会議に出席を求められた。この席では、1台3500円だった2008年と比べて、軽油の価格が安くなったことや、宮古土地改良区が管理する給水所(27カ所)の無料開放の段取りも済んだことなどを説明し、改めて3000円での実施を求めた。しかし、組合員らは燃料価格の高止まりや、道路のアスファルトが熱くなる夏場にはタイヤの摩耗が激しいなどを理由に、市の要望を拒否し3500円に決めたという。奥濱理事長は、22日の干ばつ対策調整会議でもこの考えを踏襲し、市の再三の要望を受け入れなかった。


 市の関係職員は「伊良部と比べて宮古島の燃料は高いのかというと、むしろ安い。トラック組合の論理は納得できない」と指摘。
 別の職員は「トラックに装備する、10㌧タンクや放水銃、エンジンポンプは、補助事業で導入している。こういう時こそ、農家に配慮すべき。今を乗り切って生産量を増やせば、収穫時にトラック業者には見返りがある」と話した。
 伊良部は、10日から潅水を開始した。伊良部農林水産室が、伊良部の場合は台風や干ばつ、バッタの発生など他の地域と比べて、被害が大きいことを説明し、3000円で調整した。この時、伊良部支部は、同支部が調達した給水施設関連機材の代金の肩代わりを求めたが、これを製糖工場が受け入れことも、3000円を了承する要件となった。


 宮古より伊良部が500円安いことについては「支部の負担を軽くしたのだから、その分安くするのは理屈に合っている」との考え方がある一方、「伊良部支部は施設の修繕だけなく、発電機の燃料も負担してこれまでもやってきたのだから、宮古は3000円でも高過ぎるくらいだ」との見方がある。
 下地支部長は「被害の状況は地域によって違う。対応は、地域なりにしなければならない。今回は被害が大きく、製糖工場の支援もあったため1台3000円にした」と話す。
      (新城孝夫)


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