あでやかに組踊り/多良間村
八月踊りが開幕/歴史、伝統文化息づく
【多良間】国指定の重要無形文化財、多良間島の「八月踊り」が5日、3日間の日程で開幕した。「ショウニツ」と呼ばれる初日は、仲筋の住民たちが土原ウガンで若衆踊りや女踊り、二才踊り、組踊などさまざまな踊りを奉納。歴史と伝統を感じさせる衣装に身を包んだ演者たちは、舞台に登場すると荘厳な踊りやあでやかな舞で観客を魅了した。きょう6日は塩川初日として塩川のビィトゥマタウガンで、あす7日は「ワカレ」として双方で絶え間ない踊りを演じる。
旧暦の8月8~10日に開催される八月踊り。起源は定かではないが、1637年から宮古、八重山で課されるようになった人頭税を納め終わった「皆納祝い」として、来る年の豊年を願い神前で奉納踊りを行うようになったとされている。
祭りは出演者の顔見世となる朝の総引で幕開け。獅子舞が勇壮に踊ったのに続き、各演目に登場する役者たちが次々と登場した。
午前の部の締めくくりは、組踊「忠臣仲宗根豊見親組」。横暴な与那国島の首長鬼虎を討伐するよう、首里府から命を受けた宮古島主の仲宗根豊見親が、村々の豊見親とオーガマ、クイガマという美しい姉妹を連れ、与那国島首長を攻め滅ぼす物語。姉妹と両親の別れや、美しい2人の踊りや酒で気を良くする鬼虎、油断した鬼虎の居城へ攻めかける豊見親たち、鬼虎の首を取り、凱旋する一行など、時折、笑いを誘う場面も盛り込みながら、歌や踊りで喜怒哀楽を演じた。
組踊のほか、福禄寿口上や若衆踊り、狂言、組踊「忠孝夫人村原組」など計26の演目が行われ、会場は夜遅くまでにぎわった。
仲筋字会の津嘉山正克会長は「いつまでもこの踊りを継承していきたい」との思いを語った。東京から訪れた早見摩里さんは「初めて見たが笑いあり、伝統もあり、島の人たちと深く関わりのあることが分かりとても良かった」と話した。