おぼろ月夜に伝統の舞/盛大に野原のマストリャー
五穀豊穣を祈願
旧暦8月15日の十五夜に当たる12日夜、上野野原地区では国選択無形民俗文化財に指定されている伝統行事「野原のマストリャー」が野原公民館前広場で盛大に行われた。男性たちは勇壮な棒踊りを披露。女性たちは優雅な舞を奉納し、五穀豊穣を願った。
マストリャーは約300年の歴史を誇る。17~19世紀の人頭税時代に公租に関わる穀物の計量担当者をマストリャーと称し、その語源は昔、穀物などを「升取屋」と呼ばれる升本で納めていたことに由来している。
その年の税を完納したことを喜び、来る年の豊作を祈願して行われるようになったと伝えられている。
この日は、同地域内の「子組」「寅組」「午組」「申組」の四つの升本から男たちが、かねの音を響かせ集落内を練り歩きながら、午後10時ごろまでに公民館に到着。今年のマストリャーが幕開けした。
おぼろ月の下、男性たちは勇壮な掛け声を上げながら力強い棒踊りを披露。女性たちは縦列を組み前列がクバ扇を持ち、後列は四つ竹を鳴らし、息の合った舞を奉納。最後は全員が円を描いてクイチャーを踊った。
主催する野原部落の仲里雅彦会長は「最近は若い人たちが増えて、こうした伝統行事を守り受け継ごうという意識が強まっている。これからも地域全体でこのような大切な行事をしっかりと守っていきたい」と述べた。
会場には、市民や観光客らも多数訪れ、長年受け継がれた舞を写真に収めながら、地域の伝統行事を楽しんだ。