がん対策「不十分」51%/市民アンケート
離島の経済負担大きく/条例制定の周知が課題
離島のがん患者支援を考える「ゆうかぎの会」(真栄里隆代代表)がこのほど、先月10日に行ったがんに関する市民アンケートの結果がまとまった。現状における県のがん対策については51%が不十分と回答。島外医療機関での治療費や交通費、宿泊費といった経済的負担などを理由に挙げ、離島における厳しい医療の実態を際立たせた。一方で、県が年度内の制定を目指すがん対策推進基本条例については回答者の半数に知られていなかった。県条例制定の周知が課題と言えそうだ。
アンケートは、ゆうかぎの会など関係する団体が先月10日に開いた「たうんミーティングin宮古島」の中で行った。参加者100人のうち47人が回答した。
がんの治療をした人に対する「困ったこと」(複数回答)の問いには「精神的な落ち込み」とする回答が全体の60%を占めた。島外の医療機関に通う場合の治療費や交通費が43%、宿泊費も37%と高かった。治療に関する情報不足を訴える声は全体の37%、「どこに相談するか分からない」と答える人も3割に及んだ。
宮古でがんを罹患した場合、放射線治療やペット検査といった高度な医療は島外の医療機関に頼らざるを得ない。このような経済的負担に苦慮している離島の現実を浮き彫りにするアンケート結果になった。
県のがん対策に関し「十分であると思うか」とする問いには「あまりそう思わない」「そう思わない」と答えた人が合わせて51%に達しており、現状の対策には不十分と指摘した。そのほか「分からない」とする回答も23・4%あった。
県の条例制定に関する認知度の低さは課題に挙げられる。半数が不知とした回答に対し、ゆうかぎの会の真栄里代表は離島住民の声を拾い上げる工夫が必要だと指摘。「ホームページなどの情報開示はみんなに行き届きにくい。本当の情報の伝達が大切なこと」と危機感を込めて話した。
アンケートでは自由な書き込みも求めた。内容は交通費や宿泊費の助成に関する声が多く、「経済的な支援がほしい。心に経済的な不安があれば病院、医療から遠のいてしまい必要な医療支援を受けられない」という訴えのほか、「宮古にも放射線治療ができる病院が必要だ」「相談センターや情報センターが近くにあれば良いと思う」などという要望もあった。
真栄里代表は「条例に離島対策が入らないと本当に大変だと思う。いま私たちにできることで活動を続けていきたい」と話した。
県が制定を進めるがん対策に関しては、宮古島市議会や多良間村議会が意見書を可決し、充実した条例の制定を求めている。