「ヤーマスプナカ」始まる/下地来間島
下地来間島の伝統行事ヤーマスプナカが6日、2日間の日程で始まった。初日は3兄弟の家元で子孫の繁栄を祈願する「サラピャース」と「マスムイ」儀礼が行われ、島民が生後1年未満の子どもの誕生を祝って神酒を回し飲んだ。きょう7日は島民が棒踊りや奉納踊りを披露しながら集落内を練り歩き、向こう1年の五穀豊穣を祈願する。
ヤーマスプナカは旧暦9月の甲午の日に行われる島最大の行事。その昔に来間島を救い、繁栄させたと伝えられる3兄弟の家元(長男スムリャーブナカ、次男ウプヤーブナカ、三男ヤーマスシャーブナカ)を中心に祭事が行われる。
祭り期間中は沖縄本島や本土、八重山諸島から多くの出身者が集まって島が活気付く。15~16世紀から続く行事とされている。
祭り初日の6日、長男のスムリャーブナカでは午前8時40分からサラピャースが始まった。家主の長間盛史さんらが家元で作った神酒を「ピサギ」に入れ、角が二つ、足が四つ付いた祝い皿(ツヌザラ)に注いで住民に振る舞った。
住民は祝い皿を頭上に上げて神に感謝。その後静かに口元に運んでゆっくりと飲み干した。回し飲んでいる間は老若男女を問わず全員で神詩を歌い、子宝に恵まれた1年を祝いながら健やかな成長を祈願した。
この後、マスムイが行われ、ここ1年で生まれた子ども5人が紹介された。父親らがあいさつに立ち、日ごろから温かく見守ってくれる島の住民に感謝しながら酒を回した。
奥平正行さん(25)はこの1年の間に次男優斗君の誕生に恵まれた。「みんなにお祝いしてもらえることが本当にうれしい。優斗にはすくすくと大きく成長してほしい。島の関係者が集まるこの祭りを守り続けていきたい」と話した。
家主の長間さんは「みんなが集まって祭りを盛り上げてくれる。家主としては大変うれしいし、みんなに感謝している。この祭りは来間島にとってとても大切な行事。いつまでも続けていきたい」と話した。