数字で見る学校規模適正化 〈上〉
1人当たり管理運営費適正規模校の3~13倍/過小規模校
市教育委員会がこのほどまとめた「2010年度小中学校の運営費」によると「児童、生徒1人当たり管理運営費」が複式学級を抱える過小規模校は適正規模校よりも小学校で年間約3倍~10倍、中学校では約6倍から13倍となっていることが分かった。市が負担する小中学校の管理運営費全体の費用は年間約8億6000万円。幼稚園を含めると約10億円。児童生徒が減少し、少人数での学校運営を「不効率」とし、財政面からの「統合」を訴える意見もある一方で、統合計画の予定地域の住民からは「お金の問題ではない」との声も根強い。
■ 小学校
宮古地区の小学校で適正規模校となっているのは北、東、久松の3校。平一、南は大規模校。過小規模校は宮原、狩俣、宮島、池間、福嶺、来間の6校で、そのほかは小規模校。
適正規模の3校における1人当たりの管理運営費は8万9000円から9万8000円程度。
一方で過小規模校では、最も高いのが来間で111万円。次いで宮島の72万円、宮原の67万円、池間の40万円、狩俣の28万円となり適正規模校を大きく上回っている。
小学校全体の管理運営費は4億7400万円。1人当たりの管理運営費の平均は13万円となっている。
■ 中学校
適正規模校は平良と北の2校。過小規模校は池間と来間の2校で両方とも現在は小中学校となっている。大規模校はなく、そのほかは小規模校。
適正規模校の1人当たりの管理運営費は11万円程度だが、池間は142万円。来間は70万円となっている。
中学校全体の管理運営費は3億8500万円。1人当たりの管理運営費の平均は20万円となっている。
■ 管理運営費
管理運営費は、「管理・振興事務費」や市の正職員(用務員、図書館司書など)の「人件費」、臨時職員の「賃金」、警備などの「委託料」などとなっている。
項目で最も金額が多いのが「人件費」。次いで臨時職員の「賃金」、「管理・振興事務費」などが続く。
■ 教職員の給与
市議会の9月定例会一般質問で川上哲也教育長は、規模適正化が計画通り行われた場合に減少する教員数と、その経済効果についての質問に「事務職員も含め132人の教職員が減少し、その給与は推定で年間8億7000万円になる」と答弁。
この8億7000万円は市負担以外の教員や事務職員の給与。県教職員組合主催の学習懇談会で沖教組の山本隆司中央執行委員長がこの問題について「教職員の給与は県費であり、教員が減ることはその経済効果をも考慮すべき」と主張し、学校の統合は安定的な給与を得ている多くの教職員が減ることにつながり、地域の経済活動にも大きな影響を与えると指摘している。
■ 財政
市教委は「子どもたちの教育環境」を前面に押し出し「統合」に理解を求め、地域住民は「地域活性化」「複式学級のメリット」などを訴え「存続」を求めている。
しかし、この問題では今回示したような数字を含め、学校運営における「市の財政」も大きなキーワードの一つとなっている。
現在、学校統合についての住民説明会では「金銭的な面」での議論がほとんど行われていない。
今後、厳しさを増すことが予想される市の財政。学校が統合すれば市の負担は確実に軽減される。今回の統合の動きにはこうした「財政面」も大きな影響を与えているようだ。