神歌「ユーンティル」響く/伊良部で祭祀ユークイ
女性たちが豊作、豊漁祈願
伝統の祭祀「ユークイ(富乞い、世乞い)」が20日、伊良部の全地域で行われた。各御嶽では、女性たちが神歌「ユーンティル(富が満ちてください)」と唱和しながら舞を奉納した。各集落の住民らは、それぞれの御嶽に集まり、旧年中の五穀豊穣、無病息災、大漁に感謝し、向こう1年間の豊作豊漁などを祈願した。
北区の佐良浜の仲間ニー御嶽では、大勢のユークインマが参加した。今年10年の任期満了で卒業するユークインマは、1955(昭和30)年生まれの数え57歳の70人余。全員がそろいの着物で着飾り、クイチャーを踊りながら歓喜一色に包まれていた。
一方、南区の佐和田ユークイ御嶽、国仲御嶽などでは、女性たちが息の合ったクイチャーを繰り広げた。男性らは円座をつくり、祝い酒を酌み交わしながら交流を深めた。男性の躍動感あふれる踊りには、会場から大きな拍手が送られた。
佐良浜のユークインマを卒業する池間喜和子さんは「先輩たちに助けられ、無事卒業することになった。感謝でいっぱい。これからも伊良部島の発展のために恩返ししたい」と決意を新たにした。
佐和田自治会長の浜川正弘さんと国仲自治会長の手登根正吉さんは「住民が健康で参加したことが、とてもうれしい。みんなが力を合わせて盛り上げたことに感謝したい」と語った。