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教育・文化 社会・全般
2011年10月26日(水)9:00

ニガイ行事の継続懸念/平良西原集落

ニガインマ2人だけに/なり手不足 背景に仕事、子育て


ユークイで集落内を練り歩くニガインマたち=20日、平良西原

ユークイで集落内を練り歩くニガインマたち=20日、平良西原

 平良の西原集落で、「ニガインマ」と呼ばれる女性が執り行う「ニガイ」(願い)行事の継続が危ぶまれている。役職を担う人材の不足が要因だ。現段階では来年の旧正月以降、ニガインマの役職はウーンマとアーグスンマの2人だけになる。ニガイ行事には最低5人が必要とされ、2人だけでは継続できない。西原のニガイは1800年代から続く伝統行事。継続を願う女性たちは「西原全体で何とかしてほしい」と訴えている。


 ニガインマは47歳から56歳までの女性が対象で、ナナムイに「入学」してからの10年間、西原集落の神行事に関わる。その数は50行事に及び、豊穣を願うユークイやミャークヅツなど宮古を代表する伝統祭祀の神事もすべてニガインマが執り行っている。

 西原集落に繁栄をもたらす行事においては欠かせない存在にあり、西原の住民らは「不在なら多くの行事に影響が出る」と話す。
 人材が不足する要因は多忙さにある。ニガインマは年間50ものニガイ行事をこなさなければならない。準備期間を含めると年間120日以上も関わるため、引き受ける女性が年々減少しているのが現状だ。

 仕事を持つ女性は時間のやりくりに困り、特に子育て中の女性は家を留守にする時間が増えるため、容易には引き受けられないという。ある住民は「今と昔では時代が違う。共働きの家庭が増えて子育て中の女性も多い。そんな環境の中でニガインマの役職を務めるのは大変だ」と話す。

 西原集落の佐久田盛光字長は「なり手が若く、対象の女性が子育てをしているという例はある」と対象者の理解が得られない現状を指摘。「これからウーンマと話し合いながら対応したい」と言うが、具体的な解決策は白紙の状態だという。

 今回の人材不足は、西原集落全体の問題として広がりを見せている。とりわけニガインマを卒業した女性たちは、歴史上、一度も途絶えさせたことがない伝統のニガイ行事の継続に切実な思いを寄せ「これは地域全体の問題。続けるためにはどうすれば良いのか。みんなで考えなければ」と危機感を強めている。

 かつてニガインマの役職は大きな名誉だった。役職を決める「ンマユイ」には多くの住民がウハルズ御嶽に集まり、役職に選ばれた女性を盛大に祝った。今は関心が低いのか、集まる住民は数えられるほどだ。集落の御嶽を巡拝するユークイでは過去100人以上が列をなして歩いたが、現在は10人に満たない。

 住民の一人は「昔の盛況ぶりは本当にすごかったが今はまるで関心がない。これも時代の変化なのかもしれない」と話し、ニガイ行事に対する理解、関心の低さが地域文化の継承に影響を与えているという現実に表情を曇らせた。

 西原自治会では、同問題を話し合う総会開催の動きが出始めている。自治会の役員経験者は「対象年齢の繰り上げをはじめ、手当ての見直し、ニガイ行事の縮小なども含めて、いろいろな意見を聞き、その中で地域の総意として決めていくことが大切」と話した。


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