治療可能、早めの受診を/排尿ケアで公開講座
琉球大学公開講座「宮古島地域住民における健康まちづくり 知っておきたい排尿ケア」が3日、平良港ターミナルビル大研修室で開かれた。排尿に関する専門家や手術で尿失禁(尿漏れ)を完治させた体験者ら計5人が講師を務め、漏れのタイプやメカニズム、治療法などを紹介。治療可能な病気なので、高齢だからと諦めず医療機関に相談、受診するよう呼び掛けた。
講師を務めたのは、県内外で活躍する専門家で排せつ障害に関する支援、研究などを行う日本コンチネンス協会の西村かおる会長、沖縄協同病院泌尿器科の嘉手川豪心医師、宜野湾海邦病院の洲鎌則子看護部長、手術で尿失禁を完治させた経験を生かし宮古で相談ボランティアをしている平良昭子氏、琉球大学医学部保健学科成人看護学Ⅰの大湾知子准教授の5人。
西村会長は「気持ちのよい排尿ケア」をテーマに、排せつ習慣や食生活、運動、精神状態や環境などが「良い排せつ」を促進することを紹介。尿失禁には、腹部に力が入ったときに漏れる腹圧性や、急な尿意が我慢できない切迫性などのタイプがあり、薬物療法や尿道を広げることなどで治療できるとした上で「尿失禁を諦めないで、医療機関の診断を受けることを検討して」と訴えた。
嘉手川医師は「尿失禁と膀胱脱の診断・治療・最新手術方法」と題し、骨盤内臓器を支える骨盤底筋が弱ることにより腹圧性尿失禁が発症すること、トレーニングや手術などで骨盤底筋を補強することで治療できるとの考えを示した。洲鎌看護部長は「尿失禁の相談と対策」として、失禁を自分以外の人に相談できないとストレスでうつになりやすくなったり、引きこもりがちになることを指摘。「国内で尿失禁に悩む人は500万人とも言われ珍しくないこと。恥ずかしがらずに身近な人に相談して、専門医に診てもらって」と呼び掛けた。
平良氏は、尿失禁で悩んでいたが、勇気を出して泌尿器科を受診し、手術を受けたことで漏れなくなったこと。その後、別のタイプの尿失禁を発症したが薬で治療した体験を発表。「高齢だから仕方がないと思われがちだが、気付いたときに早期に受診し、タイプに合った治療をすれば、毎日を快適に過ごすことができるようになる。勇気を出して受診して」と語った。
大湾准教授は、尿失禁の治療法の一つとして、一定時間ごとに自分の尿道口へ自分で管(カテーテル)を入れ、ぼうこうから尿を体外へ出す「自己導尿」について説明。「自分の体に管を入れるのは大変と思われがちだが、目の悪い人がコンタクトを入れるのと同じ」と特別な療法ではないとの考えを示した。そのほか、尿漏れ防止に効果のある骨盤底筋強化の体操を紹介した。
同講座には多くの市民が参加し、講師の話を真剣な表情で聞き入っていた。