「環境と子どもと脳」で講演/脳科学者・茂木さん
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脳科学者・茂木健一郎さんの「茂木塾in宮古島『環境と子どもと脳』」と題した講演が20日夜、市中央公民館で開催された。茂木さんは「環境は子どもに大きな影響がある。生まれるまでは子どもにとって母親の胎内が環境の全てであり、4歳ごろから別の人を認識し、母親を客観的に見始める」と述べた。環境も同様で一度離れることによって客観的に見ることができ、その良さが分かると指摘した。
「沖縄は人々が苦労を共にしている。これは大切な文化で一番の環境。1人で大変だと思うと孤立するしつらい。人とつながっている実感があると人は大丈夫」と述べ、世界のウチナーンチュ大会を目の当たりにした経験から「沖縄は世界につながっているし、可能性を感じる」と、茂木さんは沖縄の良さを語った。
茂木さんは「人はその成長過程で2割は父母から、残りの8割は社会に出てから会う人によって影響を受ける」と持論を述べた。そこで個性が育まれる。個性は唯一無二のもの。個性を認め合い、それが協力し合える社会にする必要があると強調した。20世紀は一つの物差しだけで測っていた時代だったが、今はそれぞれが個性を認め合い協力し合う時代に入っていると話した。
一例として現代のインターネットによる人とのつながりや、個々人が得意分野を提供することで一つのものがネット上で創造されることなどを挙げた。
参加者からは「睡眠と脳との関係は」「感動すると人に伝えたくなるのはつながりを求めているのか」などの質問が出た。
脳と睡眠について茂木さんは「睡眠中に脳は昼間体験したことを整理している。それが時として夢になることがある」と説明した。
また、伝達に関し「体験は話さないと伝わらない。人は伝えたいという本能がある」などと答えた。