「当事者研究」を公開/浦河べてるの家講演
統合失調症の女性に助言
精神障害のある人が心のケアを受けながら働く「浦河べてるの家」(北海道)の高松信友さんら4人と、入所者を支える向谷地生良北海道医療大学教授の5人が5日、市社協城辺支所でトーク形式の講演(主催・ふれあいプラザ宮古)を行った。入所者の4人は、自らの心を見つめて、ありのままの自分を認め、症状に対処する研究内容を公開。「死ね、消えろ」などの幻聴が聞こえるという統合失調症の女性参加者に、経験や研究を通して得た療法を助言した。会場には入所者たちが、社会進出を目的に加工販売している日高昆布の製品も展示即売された。
「当事者研究」を公開したのは高松さんと、吉田めぐみさん、山根耕平さん、亀井英俊さん。4人は、自己病名をユニークなネーミングで紹介した。
高松さんは「悲壮感ためこみ爆発型」。悲しいとかむなしいとかの感情をため込むと、物を壊したりするという。吉田さんの病名は「人生の方向音痴」と面白い。人の顔色が気になって疲れてしまうという。山根さんは、昔勤めていた会社でいじめられた恐怖が「よみがえるタイプ」。この恐怖感を取り払わないと、他人と話ができなくなる。亀井さんは「幻聴さんクリエータータイプ」と名付けた。
みんなの前に立った参加者の女性は、「病名(統合失調症)を公開しきれずに、今に至った」と述べた。我慢して責任を背負い込んだ時に、発症するという。幻聴は「死んでしまえ」とか「お前が人を助けるのは、おこがましい」とか、容赦ない。
向谷地教授は「大変な時はまず、自分の力を借りる。自分と相談することをみんなはやっている」と助言。入所者たちは、「自分の1日の良かった出来事を、メモして就寝前に復唱する」「話せる相手を増やす」「幻聴さんと丁寧に会話する」-などと病気と向き合う方法を紹介した。
統合失調症 10代から40代ぐらいまでの比較的若い世代に起きやすい。幻聴や妄想、思考障害などの症状がある。意欲の低下や自閉傾向になることも多い。原因ははっきりしていない。