「食材の安全確認必要」/「放射性物質から食品を守ろう」講演会
東日本大震災の発生から1年となった11日、宮古島市(地区)婦人連合会(島尻清子会長)主催の講演会「放射性物質から食品を守ろう」が下地農村環境改善センターで開かれた。震災の影響で福島県から宮古島に避難している鎌田昭三さん、東京から家族で移住した福井珠美さん、「放射能からいのちを守る宮古島市民の会」代表の下地昌伸さんが講師を務め、被災地の現状や放射能が人体に与える影響、食材の安全性確認の必要性などについて語った。
東日本大震災と津波の被害を受け発生した東京電力福島第1原子力発電所事故。現在も放射性物質は外部に放出されていて、周辺地域で直接、放射能を浴びる外部被ばくの問題のほか、放射能に汚染された食品を摂取することによる内部被ばくについては、沖縄県を含め全国でその可能性が懸念されている。今回の講演会は、放射能の問題について考えるきっかけとすることなどを目的に開かれた。
福島第1原発から20㌔圏内の南相馬市小高区から宮古島に避難している鎌田さんは今年2月、一時帰宅した時の状況について「倒壊したままの家もまだまだ見られ、津波の影響がそのまま放置されていた。復興、復旧ができていないのが現状。国もどこから手を付けて復興したらよいのか分からない状態と思う」との思いを述べた。
原発については、「正常な運転をしていても外部に放射線を出している」と語る鎌田さん。最終処分方法がまだ確立されていない問題点などを指摘し、「子々孫々にまで責任を持つ必要がある。人間の力ではどうすることもできない放射能を私たちの暮らしの中に持ち込むことは許されない」との考えを訴えた。
子どもたちの安全を考え東京都港区から家族で自主避難し、現在は宮古島に定住している福井さんは、原発事故発生後、東京23区内の水道からセシウムが検出されたことから「身の危険」を感じて避難した経緯を説明。放射性物質を含む腐葉土が宮古島でも流通していたことを挙げ、その土で育てられた野菜などを食べている可能性があることなども指摘し、「食材の安全性を自分たちで、宮古島で図る、目に見える行動をしなければ、子どもたちに危険が迫っている」との考えを示した。
下地さんは今回の事故に伴う放射性物質の放出について「放射能物質から出される放射線は微量でも人体に影響を及ぼす。自分の子どもたちや観光客の安全を守るためには宮古島にも線量計は必要と思う」と語った。