「故郷に恩返ししたい」/鼠径ヘルニア専門医の嵩原医師
浦添同仁病院でオペ開始
【那覇支社】鼠径ヘルニア(脱腸)の手術で、患者の身体に過重な負担が掛からない手術、LPEC法を考案し開発した元徳島大学病院小児外科長の嵩原裕夫医師=宮古島市出身=が、今年5月から同仁病院(浦添市・山内英樹理事長)で診療と手術を開始し、話題となっている。嵩原医師は「故郷に恩返ししたいとの思いで、同郷の友人である山内理事長の病院で診療と手術を行うことになった」と経緯を話した。
子どもの鼠径ヘルニアは男児に多い疾患で、無自覚も含めて小児全体の約3~5%がかかるといわれている。病気が進行すれば腸閉塞を起こし、緊急手術を要する病気。宮古でも潜在的な患者数を含め約100人余の小児疾患があるものと見込まれている。
嵩原医師が開発したLPEC法は内視鏡と特殊な針を用いて行う手術で1995年からスタートした。切開の必要がなく、現在では全国各地の小児外科で取り入れられている。手術時間は男児が15~20分程度、女児が10~15分程度で行える。
嵩原医師は「同仁病院を拠点にして、沖縄の子供たちへ医療技術で奉仕したい。子どもに限らず、沖縄でのヘルニア治療のセンター的位置づけができれば幸い」と話した。また、「子どものヘルニアは先天的な病気なので放置して様子をみようと思わずに、できるだけ早い時期に手術を受けてほしい」と呼び掛けた。
同仁病院の山内理事長は「私も外科医として素晴らしい手術で大きなメリットがあると考えている。ぜひ、沖縄での普及を目指してほしい」と喜んだ。
現在、嵩原医師は徳島県の玉真病院附属鼠径ヘルニア治療研究所所長を務めており、同仁病院では第2、第4の金曜、土曜日に診療と手術を行っている。問い合わせは同仁病院。電話098・876・2212。