西の勝利で「豊漁」/上野宮国の伝統行事
旧盆の夜に大綱引き
旧盆送り日(ウフイユー)の1日夜、上野宮国の伝統行事「大綱引き」が盛大に行われた。行事の始まりを告げるほら貝やかねの音などを合図に、集落内の住民らは宮国公民館前に集合。
観光客らも加わり、東西に分かれて大綱を力いっぱい引き合った。東が勝つと豊作、西が勝つと豊漁が約束される勝負で、今年は西組が2勝1敗で勝利し「豊漁」が約束された。
東西の雄綱、雌綱が連結され綱引きが開始。東組、西組がそれぞれ全長約㍍の大綱を力強い掛け声とともに、こん身の力を込めて引いた。綱の周りに集まっていた観客からは大きな声援が飛び、会場は熱気に包まれた。
宮国自治会の崎原清正会長は「キャーンが少なくなっても途絶えさせてはいけない行事なので、毎年やりとげなければならない」と集落の伝統行事への思いを語った。
大綱引きは先祖の霊をにぎやかに送り、この先1年の豊作と、豊漁を祈願する行事で、1995年3月に旧上野村の無形民俗文化財に指定され、現在は宮古島市の無形民俗文化財に指定されている。
大綱は「キャーン」(シイノキカズラ)を材料にして太く編み上げる。昔は地域の子どもたちが材料を集め、網を編む役目を担っていたが、少子化やキャーン不足から、現在は大人が中心になって伝統行事を盛り上げている。