71年ぶりに卒業証書/戦争混乱で受け取れず
新城昌章さん「長生きして良かった」/上野小児童が門出祝福
3日に行われた上野小学校(小谷優校長)の始業式で、1942(昭和17)年3月24日に予定されていた卒業式が沖縄戦前の混乱で中止となり、卒業証書を授与されなかった新城昌章さん(82)に、71年ぶりに証書が手渡された。
伝達授与式で、小谷校長が名前を呼ぶと、新城さんは元気良く「はい」と答え、少年に戻ったような緊張した表情で卒業証書を受け取った。
新城さんは1929(昭和4)年11月31日生まれ。現在、しもじ長生園(比嘉克子園長)を利用している。
比嘉園長らが新城さんからの聞き取り調査で、小学校を卒業した時の卒業証書をまだ受け取っていないことが分かった。同校は、比嘉園長らの事情説明で卒業証書の授与を決めた。
新城さんは車いすで入場。園児45人と児童200人、教諭らが大きな拍手で迎えた。
卒業証書を手にした新城さんは「沖縄戦前に上野小学校が病院になったので、どこにも行くところがなかった。立派な卒業証書をもらい大変うれしい。80歳余りまで生きてこられて良かった。皆さんのご苦労に感謝し人生を長生きしたい」と話した。
新城さんには花束が贈られ、全員で晴れの門出を祝した。
宮国千穂さん(6年)は「卒業証書が授けられ、とても良かった。感動しました」と話した。