国の名勝・天然記念物に指定/八重干瀬
文化審議会、文科省に答申/宮古3件目の登録に
【那覇支社】国の諮問機関である文化審議会(宮田亮平会長)は16日、田中眞紀子文部科学大臣に「八重干瀬」を名勝及び天然記念物(地質鉱物)に重複指定することを答申した。宮古での国指定名勝は「東平安名崎」(2006年11月17日)に次ぎ3件目、国指定名勝・天然記念物の重複指定は「下地島の通り池」(06年7月28日)に次いで2件目となった。今回の答申で県内からは八重干瀬のほか、「石垣島東海岸の津波石群」(地質鉱物)が指定された。官報告示後、正式登録される。
八重干瀬の重複天然記念物指定の報告を受けて、県教育庁の大城浩教育長は「八重干瀬は宮古島に固有の伝承及び生活・文化との深いつながりの下に知られてきたサンゴ礁の海浜景観であり、その風致景観上の価値は高い。わが国最大の台礁群としても重要であり、学術上の価値は高い。今後は、宮古島市が八重干瀬の適切な保存を行い、活用を図っていくことを期待する」との談話を発表した。
また、下地敏彦市長と川満弘志市教育長は、本紙取材に対し、今回の指定を喜ぶコメントを述べた。
県教育庁文化財課によれば、天然記念物登録によって、旧暦3月3日の「サニツ」に由来して行われてきた「八重干瀬まつり」などに規制が掛けられることはない。今回指定された2件を加えて県内の国指定天然記念物(動植物を含む)は計49件となった。全国では今回、追加選定を含め計41件が答申され、史跡名勝天然記念物3088件、登録記念物66件、重要文化的景観は35件となる予定だ。
下地敏彦市長の話
宮古だけでなく沖縄の中でもサンゴ礁は健全に育成され多様性に富んだ場所。漁業や観光も今まで通りできるという事なので今後、八重干瀬の自然と利用する人の調和が取れた形を目指す必要がある。
川満弘志教育長の話
指定をうれしく思う。今回の指定で宮古島市の名勝は3件目、重複指定は2件目となる。八重干瀬は宮古島の3分の1にも達する巨大なサンゴ礁で、宮古島の生活・文化と深いつながりがある。今回の指定によって、従来の観光、漁業、ダイビング、学術研究のためのサンゴ採取等が影響を受けるものではない。今後とも適切に活用するとともに、国、県と連携して自然、文化財の保護に努めていく。
八重干瀬 池間島の北約5~22㌔に位置し、南北約17㌔、東西約6・5㌔にわたって広がる広大なサンゴ礁群。100以上のサンゴ礁からなり、宮古島の面積(158・7平方㌔㍍)の約3分の1にも達するといわれる。「幻の大陸」とも呼ばれ、大潮の日に海面に姿を現す。旧暦3月3日の伝統行事「サニツ」に由来して「八重干瀬まつり」などのイベントが行われている。