スロープの傾斜が急/まちなかバス
車椅子利用者が乗降体験
重度障害者の支援を行う自立生活センターまんたは7日、実証試験運行が行われている「まちなかバス」が、障害者や高齢者にやさしい交通システムかどうかを評価、検証した。同センターに所属する車椅子利用者の2人が乗降体験した結果、2台のバスの1台のみが車椅子でも乗降できるスロープを備えていたものの、スロープの傾斜が急で介助なしでは乗降が困難なことが分かった。体験者は「誰でも気軽に利用できるようにしてほしい」と改善を求めるとともに運行の継続も訴えた。
乗降体験したのは友利英俊さん(49)と砂川幸夫さん。ともに車椅子利用者で、この日は同センターの職員2人が介助役として参加した。
サンエーショッピングタウン宮古衣料館前-宮古空港、同空港-宮古病院までの約40分間という乗車体験だったが、2人ともスロープの乗り降りに四苦八苦。介助の手を借りて乗ったが、車内が狭いためUターンできず、降りるときは後ろ向きなって進むことを余儀なくされた。
友利さんは「乗る時は良いが、降りる時は危険だと思う。一人では利用できない」と話した。2日前には、市役所から乗車しようとしたが、スロープが付いていないバスだったため、運転手から乗車を断られたという。
砂川さんは「車椅子や乳母車を利用する人たちが安全に利用できるようにしてほしい」と語った。
介助役の福里吉勝さんは「視覚障害者や聴覚障害者の利用者にも分かるように、次のバス停の名称をアナウンスしたり、電光掲示板で知らせることも必要では」と提言した。
乗降体験した友利さんと砂川さんは、この日の体験を同バスに設置されているアンケート用紙に書き込み、市に対して障害者が利用しやすい交通機関の整備を求めることにしている。
まちなかバスは4日から17日までの2週間、実証試験運行される。ルートは市役所平良庁舎を拠点に市街地の病院やスーパー、郵便局など人が集まるスポットや、空港と平良港を結ぶ。期間中は無料で利用できる。
バス利用者にはアンケート協力が呼び掛けられ、その結果は生活交通ネットワーク計画の策定に役立てられるほか、今後の市街地コミュニティーバス運行実現の可能性についての判断材料の一つにされる。