79歳でCDデビュー/小禄玄信さん(平良出身)
苦難越えた半生を歌に
宮古島市平良出身で那覇市に住む小禄玄信さんが79歳にして、日本クラウンからCDデビューを果たした。曲名は「人生男道」。人生の荒波を乗り越えた半生や男の心意気を歌った。カップリング曲は「母のぬくもり」を収めた。4月7日には、クラウン歌謡祭(マティダ市民劇場)に出演し、故郷での初舞台を踏む。
2008年に、「直腸がん」を宣告された小禄さん。激務によるストレスが原因と気づき「生き方を変えよう」とボイストレーニング教室に通ったのが、デビューの発端だった。
小禄さんは、中学を卒業後裁判所に勤務。仕事をしながら宮古高校定時制に通い、1957年に卒業した。高卒では満足せず、中央大学法学科の通信教育を経て、沖縄大学法学科の入試に合格。卒業したのは、35歳の時だった。
教室で指導する歌手の仲宗根健さんが、そんな苦難の経歴を聞き取って作詞。宮川つとむさんが作曲した。
「港カモメが見送る船に 大志を抱いて俺は行く 自分の道は自分で開け 父の言葉は男の命 明日を夢見て乗り込んだ」(人生男道より)。戦後混乱期の貧しい時代に、夢を追った青年(小禄さん)の姿が浮かび上がる。「自分には、根気と忍耐を表す『ワイドー精神』が息づいている」と強調した。
幼いころから美声で知られていた小禄さん。歌声は伸びやかで美しい。
「母のぬくもり」は、やさしかった母にささげた歌。「母のぬくもり感じていたから耐えられ、今もそのぬくもりは血となり、肉となって生き続けている」と遠い母に思いをはせる。