愛情が生きる勇気育む/入学祝い、各家庭で盛大に
地縁、血縁集い新1年生を祝福
市内ほとんどの小学校で入学式が行われた9日、新1年生のいる家庭では、家族、親類縁者のみならず、地域の人たちや学校関係者、保護者の友人、職場の同僚らが各家庭を訪問し、入学を盛大に祝う風景が各所でみられた。子どもの入学を盛大に祝う「しきたり」も宮古地域特有のもので、受験シーズンの「愛情弁当」や「合格祝い」と同じく、沖縄本島や本土で見かけることは、そう多くはない。温かな周囲の愛情が胸に刻まれ、多くの人に支えられているのだという勇気は、やがて、宮古の子どもたちの明日へとつながっていく。
宮古の日常に定着している家庭での「入学祝い」。新入生を持つ家庭の母親は朝早くから祝宴のためのご馳走づくりに追われる。最近では、総菜専門店にオードブルを注文するなどの家庭が増えたが、母親たちは愛情いっぱいの手料理に、かまける暇はないようだ。
市平良字大浦の野原用喬さん・千明さん夫妻には5人の男の子がいる。今年、三男の丈児君が西辺小学校に入学し、野原さんの家でも丈児君の入学を祝う祝宴が盛大に催されていた。
千明さんは、沖縄本島南部、玉城村の出身。長男の入学祝いの時は、その規模の大きさに戸惑いを隠せなかったという。
「5人兄弟を持つ母親としては、もうすっかり慣れたものです。同じ字内に住む本島出身の友人に応援を頼んだり、姉妹を那覇から呼ぶなどして祝いの用意をこなしています」と話した。
台所では千明さんの友人や姉妹がてきぱきと動き、次から次に訪れる訪問客に供する料理を準備していた。
用喬さんは「親戚だけでなく地域や友人など、周りのみんなに支えられていたのだということは、自分の胸にもしっかり刻まれています。周りの応援が多いということほど、生きる勇気につながるものはありません」と話した。
新1年生の丈児君は「入学式はとても楽しかった。毎日、学校に行けることがとてもうれしい」と話した。野球好きの父とは違い、バスケットボールに打ち込みたいという。
訪問客は次々と増え、野原家の入学祝いは楽しく和やかに夜遅くまで続けられていた。