平良好児賞に伊志嶺、上地氏/「ルルドの光」「マツガニ川柳」
過去最多公募から選出/6月2日に授賞式
第17回平良好児賞(宮古毎日新聞社主催、宮古ペンクラブ主管)の選考委員会記者会見が2日、市内のホテルで開かれ、伊志嶺節子氏(68)=平良下里=の歌集「ルルドの光」(ながらみ書房)と上地慶彦氏(75)=平良東仲宗根=の川柳集「マツガニ川柳」(自費出版)に決定したと発表した。同賞の公募数は今回が過去最多の10作品。授賞式と祝賀会は6月2日にホテル共和で
行われる。
選考委員長の松原清吉氏は自薦他薦による公募数が増えたことに対し、「同賞への関心が高まった結果だ」と評した上で、「応募はいずれも秀作で選考は難航したが地元に根差したもので、特定の宗教や組織にこだわった作品に関しては対象から外さざるを得なかった」と選考経緯を説明している。
同委員の友利敏子氏は「ルルドの光」について、「1944年生まれの伊志嶺さんが、記憶のない戦争体験を語る術として、しっかりとした自らの人生体験に基づき歌集としてまとめ上げた秀作だ」と評した。
また、同委員の仲宗根將二氏は「マツガニ川柳」について、「川柳の受賞は今回が初めて。市役所に勤務していた上地氏からは想像もできないほどのユニークさであふれている。同氏が20年前に著した『ニャーツ方言』も受賞理由の一つになった」と講評した。
受賞の知らせを受けた上地さんは「これまでも何人かの受賞祝賀会に出席してきたが、本当に私で良いのかなと戸惑っている。選んでくれた選考委の皆さんには感謝したい」と話した。
伊志嶺さんは「混とんとした世の中に、一条の光を照らすことができればとの思いで作品をしたためた。受賞は身に余る光栄で、とてもうれしいです」と語った。
平良好児賞 長年宮古の文学界をリードし、「宮古文学に種をまく人」と呼ばれた故平良好児氏の遺志を受け継ぐため、平良氏が亡くなった翌年の1997年に創設。以降、毎年1度、宮古にかかわる各種文芸ジャンルで、優れた文筆活動をした個人や団体を表彰している。宮古毎日新聞の創刊50周年を期に2005年から本社が主催を引き継いだ。