来間島でバッタ被害
塩害、干ばつ続き農家悲鳴
来間島でバッタが大量発生し、集団でサトウキビを食い荒らす被害が出ている。農家は台風7号による塩害と干ばつ傾向に続くトリプル被害に悲鳴を上げている。製糖会社は、かん水するタンクに農薬を混ぜて散水し防除する対策に乗り出した。
大型のバッタ、タイワンツチイナゴと見られる。成虫は52㍉~81㍉。採草地で多発する傾向があり、干ばつが続くと大量発生しやすい。
バッタによる食害は、島のほぼ全体のキビ畑に見られる。キビの葉の中央を通る葉脈だけ残して食べ尽くされたキビも目立つ。
農家によると、台風7号発生前に大量の幼虫が見られた。その幼虫が台風後も居続け成虫になったらしい。
キビ作農家の男性(70)は「島はスプリンクラーが整備されており干ばつは何とかしのいでいるが、バッタの被害はどうにもならない」と頭を抱える。「干ばつが続けば、被害はもっと増えるのではないか」と心配顔だ。
別の農家の男性(70)は、2㌶のキビ畑の周辺に農薬を散布したが効果はなかった。「一カ所だけの防除では効き目はない」と一斉防除の実施を訴えた。
「幼虫の時に防除に乗り出すべきだった。こんなに飛び回っていては防除は難しいのでは」と対策の遅れを指摘する声もある。
沖縄製糖は同島のキビ畑を調査し、バッタによる食害を確認。かん水用のトラックのタンクに農薬を入れて散水しているが「バッタは飛び跳ねて逃げるため応急措置といったところ」(沖糖農務部)という。
沖糖では被害拡大を防ぐため今後、地元農家の協力を仰ぎながら一斉防除に乗り出す予定だ。
県農業研究センター宮古島支所によると、バッタが来間島から海を越えて宮古本島に飛翔する可能性は低いとしながらも、「少雨傾向は同じで今後、宮古本島でも発生の可能性はある」と話している。