月光の下で棒振り/上野野原
十五夜行事、豊作祈願/勇壮、優雅「マストリャー」
上野野原の伝統行事「野原のマストリャー」が旧暦8月15日の十五夜に当たる19日夜、野原公民館で行われた。男性は豪快な棒踊りを披露、女性は優雅な舞を奉納し、向こう1年間の五穀豊穣を祈願した。
午後9時30分ごろ、集落内の子組、寅組、午組、申組の4カ所の升元で酒宴を開いていた男性らが野原公民館に集合し、今年のマストリャーの幕を開けた。
男性は勇ましい掛け声とともに棒を打ち鳴らし、女性はクバ扇や四つ竹を手に優雅な舞を披露した。荒々しく棒をたたく屈強な男性と静かに流れるように舞う女性が円を描くように踊り続けて豊作を祈願した。
会場には住民や観光客が多数来場し、雲の間から注ぐ月光を浴びながら、300年続くといわれるマストリャーの世界を堪能した。
野原部落会の下地勝義会長は「天気を心配していたが晴れて良かった。きょうは男性も女性も素晴らしい踊りを見せてくれた。向こう1年も豊作になる」と喜びを話した。長く続く伝統文化の継承に向けては「若者が少ないのが心配。これから若手の育成に力を入れていきたい」と話した。
マストリャーは国選択および市指定の無形民俗文化財。語源は穀物が税だった時代に「升取屋」と呼ばれる升元にこれを納めていたことに由来する。祭りは税の完納を喜び、来る年の豊作を祈願して行われるようになったと伝えられる。