島全体で子孫繁栄願う/下地来間島
「ヤーマスプナカ」始まる
下地来間島の伝統行事ヤーマスプナカが25日、2日間の日程で始まった。初日は3兄弟の家元で子孫の繁栄を祈願する「サラピャース」と「マスムイ」儀礼が行われた。生後1年未満の子どもの誕生を祝って島民が神酒を回し飲み、島全体で子孫繁栄を願った。きょう26日は棒踊りや奉納踊りを披露しながら集落内を練り歩き、向こう1年の五穀豊穣を祈願する。
ヤーマスプナカは旧暦9月の甲午の日に行われる島最大の行事。その昔に来間島を救い、繁栄させたと伝えられる3兄弟の家元(長男スムリャーブナカ、次男ウプヤーブナカ、三男ヤーマスヤーブナカ)を中心に祭事が行われる。
祭り初日、長男のスムリャーブナカでは午前8時30分ごろからサラピャースが始まった。
家主の長間盛史さんらが家元で作った神酒を「ピサギ」に入れ、角が二つ、足が四つ付いた祝い皿(ツヌザラ)に注ぎ住民に振る舞った。
子宝に恵まれた1年を祝いながら神酒を回し飲む間は、老若男女を問わず全員で神詩を歌い、生まれた子どもの健やかな成長を願った。
この後、マスムイが行われ、ここ1年で生まれた子ども9人が紹介された。父親らがあいさつに立ち、島から離れて暮らしていても温かく見守ってくれる島民に感謝しながら酒を回した。
沖縄本島に住む山里愛香さん(30)は11カ月前に琉都君を出産。「母の故郷の伝統行事に参加できてうれしい。2人目以降もここに訪れて島の人たちに祝ってもらいたい」と笑顔で話した。
東京都から駆け付けた野田孝徳さん(30)と舞子さん(25)夫婦には9カ月前に長女の彩子ちゃんが誕生。父親が来間島出身の舞子さんは「子どものころから参加してきたヤーマスプナカに、自分が子どもと一緒に参加できてとてもうれしいし感動している」と話した。
家主の長間さんは「先人たちから受け継いだこの伝統行事をこれからも大事にしていきたい。きょうみんなから祝福された9人の子どもたちもこれから健康に育って将来は自分が子どもを連れて参加してほしい」と話した。