パーントゥが来たぞ
子どもらに泥を塗り厄払い
国指定重要無形民俗文化財の奇祭「パーントゥ」が6日、平良島尻地区の集落で行われた。台風23号が通過したこの日、開催そのものが危ぶまれたが、開催時刻の午後5時には雨もやみ、伝統行事を一目見ようと集落の住民のみならず、観光客や宮古各地から大勢の人たちが集まった。仮面を被り体中に泥を塗ったパーントゥに扮した3人が集落内に出現。逃げまどう住民や観光客らを追い掛けて厄除け招福の泥を塗りつけた。日が暮れても集落内は悲鳴と歓声が響き渡った。
集落内道路は宮古各地から厄払いと福を招くパーントゥを見るため訪れた人たちでにぎわった。奇神パーントゥの出現を今か今かと待つ人たちは期待と恐怖心に胸躍らせた。
仮面を付け、植物で作った泥だらけの衣装を身にまとい、つえを突きながらパーントゥが出現。子どもたちから「来たぞー」との声が上がると、全員が逃げる姿勢を見せ、パーントゥが走り出すと、子どもや女性は悲鳴を上げて逃げ回った。逃げまどう人たちを捕まえてはパーントゥは容赦なく泥を塗りつけた。
今年出産し、6カ月になる下地葵ちゃんを抱いて島尻地区を訪れた母円さんは大浦地区の出身で、「自分も小さい頃、親に連れられパーントゥを見に来た。子どもが健康に育つようにとの願いを込めて、泥を塗ってもらった」と話した。
家族5人で会場にやってきた長間誠作さん、優美さん夫婦は「毎年のようにパーントゥにはやって来る。厄除け招福になるので、家内安全を願い、家族そろって泥を塗ってもらった」と語った。また、宮古に移住して半年という難波優里香さんは「集落入口にある看板を見るたびに、どんなお祭りなのかと、いつも思っていた。とてもわくわくし、大変おもしろい」と話した。
パーントゥ 数百年前に、島尻でクバマと呼ばれる海岸に黒と赤の仮面が漂着した。村人は、この仮面は海のかなたから訪れた来訪神だと崇敬した。その仮面を男がかぶって集落内を駆け回ったのが由来と伝えられている。1993年に国の重要無形民俗文化財に指定された。