旧水路跡見つかる/来間川(市指定史跡)の湧水口開く
自治会が作業進め 半世紀ぶりに復元
市指定の史跡、「来間川」(1976年11月1日指定)の湧水口が約50年ぶりに開かれ10日、「三番川」(貯水池)から流れる湧き水が海へと流れ出した。来間自治会(来間得良会長)が来間川水路の復元作業を進めたところ、埋もれた水路跡からはトラバーチンで囲われた史跡とみられる水路が見つかった。同自治会では週明けにも市教育委員会に届け出るとともに本格的な復元を行いたいとしている。
同自治会の来間会長によれば、来間川から流れ出る水は昭和40年代初頭まで、漁港そばの海側に流れ出る湧水になっていた。周辺の土砂などが崩れて水路が埋まり、いつの頃からかは不明だが、海側に水が流れ出なくなっていたという。
同自治会では今年の「ンナフキャウガン」(9、10日)の神事に合わせて水路を開く工事に取り掛かった。土砂の除去作業は業者委託で行ったが、手作業で工事を進めたところ、古い水路跡が見つかったという。
同水路の復元は、周辺が保安林に指定されている場所などもあり、長い間、自然状態で放置されたままだった。同自治会は市教育委員会、市みどり推進課などの許可を得て、周辺の雑木の伐採作業を行い水路の復元作業に取り掛かったという。
来間会長は「以前から海への湧水口を開く作業の話は持ち上がっていたが、神事や祭祀のしきたりなどもあって、なかなか実現できなかった。神事や祭祀、島の歴史を大事に守るという意味でも、今回見つかった石積みや岩を掘った水路は非常に価値があるものと思われる」と話した。
1975年に宮古本島から海底送水が行われる以前は、来間川は島の暮らしに欠くことが出来ない貴重な湧水地であり、戦後も長い間、生活用水を賄う場所だったと来間会長は説明した。