アーサ採取で組合員加入/「警告書」が背景か
市民10人が漁協に申請
漁業権を取得し、海岸に自生している海藻の一種「ヒトエグサ」(宮古方言・アーサ)を採取、販売しようと、一般市民10人が宮古島漁業協同組合(粟国雅博組合長)に組合員加入の申請を行っていることが分かった。今年1月、アーサ採取中の一般市民が「漁業法に抵触し漁業権を侵害した」として、宮古島海上保安署から「警告書」を受けたことが背景にあると見られる。宮古島、伊良部、池間の3漁協は旧暦の3月3日「サニツ」(今年は4月21日)を控えていることから、アーサの採取を含む漁業権について、市民に理解を求める統一見解を近日中にも示す予定だ。
3漁協、「サニツ」控え理解呼び掛けへ
宮古島漁協によると、アーサ採取を目的に計画書の申請をしたのは50代~70代までの女性9人、男性1人。このうち8人は、これまでにも販売目的でアーサを採取していたという。
同漁協への組合員加入は、定例会(3月)と臨時会(9月)の年2回行われる「資格審査委員会」に諮られ、理事会に答申された後、決定される。「実際に漁業をやるという意識で加入を希望すれば、よほどの理由が無い限り資格を得ることができ、組合証が発行される」(同漁協)
当初は、年間操業日数が30日以上の準組合員だが、実績を踏まえた上で正組合員になることも可能という。
出資金は漁協によって違うが、宮古島漁協は年間7万5000円となっている。
アーサは1974年11月1日に「漁業権対象種」に追加されており、漁協組合員以外の人が採取すれば、漁業法に抵触し漁業権侵害の可能性がある。
しかし、宮古では慣習としてアーサを採ってきた歴史があり、一般市民から見れば、漁業権は漁協組合員を保護しているように思われ「納得いかない」との声も多い。
宮古島漁協は「自家消費については、ある程度の理解はできる」としながらも「現場では、自家消費と販売目的の区別が分からない」と話している。
漁業権対象種はアーサのほかにも、2013年9月に新たに追加されたタコやモズク、海ブドウ、イセエビ類、シャコガイ類などがある。
これらを踏まえ3漁協では、サニツ(潮干狩り)前に、水産資源を適切に管理しながら資源を供給する役割を担う漁協としての見解を示した上で、市民の理解を得たい考えだ。
アーサの採取については、18日から始まる市議会3月定例会一般質問でも5人の議員が通告しており、市がどのような見解を示すかも注目される。