海中展望型客船「モンブラン」回航
「オオバンマイ」にどっと
佐良浜のはやて(本社・伊良部、川平三秀代表)は22日、四国の香川県から旅客定員300人乗りの海中展望レストラン客船「モンブラン」(総トン数650㌧、1500馬力、佐久川清修船長ら乗組員8人)を平良港に回航させた。大勢の市民らが、佐良浜でオオバンマイ(大判振る舞い)と呼ばれる伝統儀式に参加するためにどっと訪れた。市民らが逆さにした傘や発砲スチロールの空箱を頭上に上げて構える中、乗組員らが船上から菓子類を威勢良く投げ込んだ。参加者らは「こっちに投げて」と熱狂。岸壁いっぱいに縁起の良い笑顔が広がっていた。宮古では本格的なクルーズ船の導入は初めて。
「モンブラン」は1999年、香川県の讃岐造船鉄工所で建造。全長56・90㍍、幅10㍍、深さ5・20㍍。最大速力13・5ノット。材質は船体が鋼、上部構造がアルミ合金。船底の海中展望ラウンジの窓は特殊強化ガラスで設計。窓から美しい海のサンゴ礁やカラフルな熱帯魚を見渡せる。海中の神秘的な世界が人気を博しそうだ。
99年以降、日本海や東京湾で就航し営業していた。2004年にはタヒチやフィリピンでパーティー・ダイビングクルーザーとして活躍した。はやてがこのほど購入し、リニューアル工事が完了したことから回航させた。
はやては、伊良部島佐良浜ー宮古本島平良間で一般旅客定期航路事業を展開していたが、1月31日の伊良部大橋開通に伴い航路は閉鎖・廃止された。高速旅客船とカーフェリーは外国に売却され、第二の人生を歩んでいる。
「モンブラン」の導入に伴い、今後八重干瀬(やびじ)周遊コースや伊良部大橋をくぐり抜ける周遊コースなどの事業を展開する。宮古近海で取れる新鮮な魚介類を食材にした海の幸の料理を楽しむことが可能となる。周遊時間は2時間15分を予定。
22日の「モンブラン」見学会では、親子連れら約1000人が豪華絢爛の船内に感嘆を声を上げていた。
見学した下地直登さん(42)=伊良部=は「動くホテルのような、素晴らしいクルーズ船。海中展望ラウンジがすごい」と興奮冷めやらぬ様子で語った。
はやては「モンブラン」の点検を数日かけて行い、周遊コース日程や料金を公表する。