高齢者の自立生活を支援/宮古病院
家庭医療センター開設/包括的な医療提供に意欲
宮古病院の「家庭医療センター」開設式が1日、同病院で行われ、運営スタッフの医師や看護師らが開設を祝うとともに、同センターを通して病気だけでなく、患者の悩みや心の問題などを含めた包括的な医療の提供に向け、決意を新たにした。開設のあいさつで本永英治副院長は「住民の側に立った医療を展開するセンターとして新しい医療を生み出してその成果を日本、世界に発信していきたい」と述べた。
同センターは、宮古島の住民が住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることを目的とし、住まい▽医療▽介護▽予防▽生活支援-を一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築実現を目指している。
同包括ケアシステムは、高齢者の尊厳保持と自立生活の支援を目的とし、人生の最期まで可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを続けることができるような地域の包括的な支援・サービスを提供する体制のことで、厚生労働省でも2025年をめどにその構築を推進している。
宮古病院における同センターの具体的な活動については、病気だけでなくその患者の心の問題や家庭内の問題についてもアプローチし、病気だけでなく病気になる前の段階からどうすれば病気にならずに済むのかを一緒に考えることも含めた医療的介入なども行っていくとしている。
さらに、同センターの開設に関連して日常的に頻度の高い幅広い領域の疾病や傷害について、適切な初期対応と必要に応じた継続医療を提供する総合診療専門医のニーズも高まっていることから、宮古病院ではその研修プログラムをすでに開始して研修医に最新の医学知識、技術の習得を図っている。
同センターは、「地域診療科」と「総合診療科」で構成され、在宅医療も業務となる「地域診療科」では訪問診療と訪問介護を実施する。
具体的な取り組みとしては、入院・外来患者の訪問診療移行サポート▽外来患者の対応困難例の相談窓口▽がん末期患者の入院サポートと緩和ケア▽在宅におけるみとり▽小児重度心身障害児の受け入れ調整-などとなっている。
そのほか開設式では、スタッフとなる医師らが抱負や意気込みを示した。そのうち、鈴木全医師は「このセンターでは、島全体に継続した医療サービスを提供し、島の人たちが安心して暮らせるような取り組みをしていきたい」と述べた。