アーサ採取「全て禁止ではない」
慣習、サニツ行事は配慮/3漁協が共通見解発表
宮古島漁業協同組合(粟國雅博組合長)、伊良部漁業協同組合(漢那一浩組合長)、池間漁業協同組合(長嶺巌組合長)は16日、アーサなどの漁業権に関しての共通見解を発表した。アーサは共同漁業権の対象種となっていることから、基本的には採取を禁止するとしたものの、地域の慣習やサニツなどの伝統行事については「全て禁止するものではない」とした。一方で、イセエビ類やサザエなどについては「資源管理に努めている」とし、これらを取ることは「漁業権の侵害になる可能性がある」と注意を促した。
漁業権について、3漁協が共通見解を発表したのは初めて。21日のサニツ(旧暦3月3日、浜下り)を控え、3漁協の見解を明らかにし、市民に理解と協力を求めることが狙いと見られる。
池間漁協の長嶺組合長は「アーサについては、慣習での採取を否定するものではない。しかし、サザエなどの貝類をみだりに取ると、漁業権侵害の可能性がある」と述べた。保護すべき水産動植物についてさらに検討を加え、市民に水産業の啓もう活動を行う「漁業権管理委員会(仮称)」の設置を検討しているという。
「宮古島の海に親しむ市民の皆様へ」と題した共通見解では、漁業権に関しての理解や漁業者の役割などを示した。
漁業権については「漁業者が漁業を営むために特定の水産資源を保護し、将来にわたって水産業を継いでいくためのものである」と説明。その上で、アーサについては共同漁業権の対象種となっているとし「基本的には採らないようお願いする。ただし、地域の習慣やサニツなどの伝統行事を全て禁止するものではない」との認識を示した。
漁業者の役割については「漁業権や漁業法などの社会的秩序にのっとりながら、水産資源を守り、生計を立て、多くの皆さまに食料を安定供給する役割を担っている」と指摘。水産資源を適切に管理しながら資源を供給する役割を担っていることを強調し理解を求めている。
今年1月、アーサ採取中の一般市民が「漁業法に抵触し漁業権を侵害した」として、宮古島海上保安署から「警告書」を受けた。市議会3月定例会一般質問でも多くの議員が取り上げ市の見解を求めた。
下地敏彦市長は、漁業権を持たない市民がアーサを採取し販売することは「明らかに漁業権の侵害であると考えている」と答弁。ただ、浜下りや浜遊びの伝統行事や、慣習として採取し自家消費することについては理解を示し、市民に節度ある行動を求めた。