75%がアルコール要因/宮古病院における成因別肝硬変
オトーリの問題点も指摘/地区医師会が実態調査
オトーリ文化をはじめ「酒社会」と称される宮古。それを改めて示す数値がこのほど行われた「第14回島のコラボ健康講座」の中で発表された。講師の「きしもと内科医院」の岸本邦弘院長によると、宮古病院における肝硬変の成因別(2011年4~10月)では、75%がアルコールを要因としていたことが示された。この数値は、沖縄県の40・9%、全国の13・6%を大きく上回っている。講話で岸本院長は、宮古の酒文化の象徴でもある「オトーリ」が健康に及ぼす危険性も指摘し、お酒との正しい付き合い方を呼び掛けた。
岸本院長は「宮古島の飲酒と生活習慣病」のテーマで講話。宮古地域のアルコール関連問題の現状として、健康問題や飲酒運転、DVなどが県平均と比べて悪い数値が示されていることなどを報告した。
こうした状況から、宮古地区医師会では昨年10月1日から今年3月31日の間に同会会員医院で特定健診を受診した20歳以上の患者691人にAUDIT調査(アルコール使用障害特定テスト)を実施した。
AUDITスコア10点以上は問題飲酒者(アルコール依存症との密接な関連がある)とされ、宮古地区は、男女とも他地域と比較して高い点数の割合が多いことが示された。
同調査の結果と考察では、オトーリは問題飲酒者の増加との関連性があることを示唆▽オトーリをする群は、しない群に比べて肥満や血圧、肝機能、脂質、血糖値異常を有する割合が高い▽オトーリをする群は5個以上の多重疾患に罹患(りかん)する危険性がある-などが示された。
最後に岸本院長は、お酒に対する意識やその飲み方が、自らの健康や社会全体にも大きな影響を及ぼしていることを訴えた上で、体に害のないようにお酒と正しく付き合うとともに、正しい飲酒習慣の構築を呼び掛けた。
AUDIT アルコール使用障害特定テストの略語で、問題飲酒の早期発見のためにWHO(世界保健機関)が作成したスクリーニングテスト。10項目の自記式テストで、各項目の回答に従って0~4点の点数が付与され問題飲酒の検出や見える化に活用されている。