「平成の五勇士」石垣へ/久松五勇士110周年記念
サバニでの漕破に挑戦
久松五勇士110周年を記念し、久松青年会の5人が当時のようにサバニで石垣までの漕破を目指す航海の出発式が4日、久松漁港で開かれた。地域住民らが多数参加し、「平成の五勇士」の挑戦成功と航海安全を願い、5人を見送った。
今回、サバニをこぐのは下地雅也さん(28)、内間申一郎さん(28)、宮国広信さん(27)、與那覇卓さん(27)、洲鎌巧さん(27)。この日のために毎日のように練習を重ねてきた。久松住民によるサバニで石垣を目指す航海は久松五勇士80周年の1985年にも行われ、成功している。
出発式では久松五勇士110周年事業期成会の粟国恒広会長が「久松五勇士の偉業をたたえ、後輩に受け継ぐことが私たちの責務」とした上で「平成の五勇士のメンバーは選ばれた誇りと名誉のため練習を重ね、目指す石垣の伊原間まで力漕する心意気でこぎきると約束している」と成功に期待を示した。
こぎ手5人による決意表明では、下地さんは「4月から練習を始めて、まだ練習が足りないのではという不安はあるが、約20時間、伊原間まで頑張っていきたい」、内間さんは「30年前に自分の叔父もこいでいる。先日その勇姿をビデオで見て、自分でもできると自信を持っている」、宮国さんは「父が80周年の時に八重山までこいだ。今回、自分も携わることができうれしく思う」、與那覇さんは「5人一丸となって一生懸命こいでいきたい」、洲鎌さんは「重要なかじ取り役なので、真っ直ぐに進んで、無事に伊原間まで着きたい」とそれぞれ語った。
来賓として参加した長濱政治副市長は「こぎきって、久松五勇士ここにありというところを見せてほしい」と5人を激励するとともに、下地敏彦市長から石垣市の中山義隆市長へのメッセージを5人に託した。
久松の獅子舞奉納や在沖久松クイチャー愛好会によるクイチャー、久松出身の下地勇さんによる歌などで激励を受けた5人は、大勢の地域住民らが見守る中、正午前にサバニに乗り込み石垣へ向け出発した。順調に進めば、きょう5日朝にも伊原間へ到着する予定。
久松五勇士とは、日露戦争中の1905年5月、日本海へ向け北上するロシア・バルチック艦隊発見の情報を、久松からサバニで電信施設のある石垣島へ渡り打電した5人の漁民の勇気をたたえる呼称。