還付金詐欺に注意を/宮古7月
2件300万円被害
未遂も1件 警察「油断しないで」
今月に入って相次いで発生した特殊詐欺(還付金詐欺)事件。県内では26日までに10件発生し、被害額は約1020万円に上っている。このうち、宮古島市は2件で、約300万円をだまし取られている。未遂と見られる事案も1件あった。手口はいずれも還付金名目で、非通知の携帯電話で、スーパー内に設置されている現金自動預け払い機(ATM)に誘導され、容疑者が管理する口座に現金を振り替えさせられた。警察では「ATMで還付手続きをすることはない」と注意を呼び掛け。「非通知の電話には出ない」「携帯電話の番号は教えない」などと被害の未然防止を訴えている。
■詐欺の手口
①公的機関を名乗る男から「医療費の過払い金があります。近くのスーパーのATMに行けますか」などと家の固定電話に連絡が入る。
②「携帯電話を持っていますか」などと話し、携帯電話の番号を聞き出す。
③還付手続きはスーパー内に設置されているATMで行うと指示し「○○という職員が待っている」と誘い出す。
④キャッシュカードと印鑑を忘れないようにと指示する。
⑤ATMに移動すると携帯電話に非通知で連絡が入り、「○○という職員が行けなくなったので、私が代わりに説明する」などと言い、携帯電話でATMの操作を指示する。
■詐欺の共通点
▽宮古での2件の詐欺事件は、まず午前中に固定電話に連絡が入り、昼すぎに2回目の電話が入る。
▽いずれも男の声で、言葉になまりは感じられない。
▽携帯電話の有無を確かめ、番号を聞き出す。
▽銀行内のATMではなく、近くのスーパー内のATMに行くよう指示する。
▽キャッシュカードと印鑑を所持させる。
▽公的機関の人がATMで待っていると伝えた後、急に来られなくなったと連絡する。
▽携帯電話でATMを操作させる。
▽「還付金を振り込みますので画面の『振り込み』というボタンを押してください」と指示する。
宮古島署では被害に遭ったのはいずれも70代と80代の高齢者だったことを指摘。「ATMの操作に詳しくないお年寄りが多いことにつけ込んでいると見られる」と話し、「『おかしいな』と思ったら1人で判断せずに家族や周囲の人、警察に連絡してほしい」と話している。
■警察、警戒強める
特殊詐欺が相次いだ事を受け、警察や銀行などは未然防止対策に乗り出した。
宮古島署は高齢者を対象に、宮古島市での2件の手口に基づいた寸劇を披露。犯行手口を分かりやすく紹介し「非通知の電話は取らない」「携帯電話の番号は教えない」などと呼び掛けた。
銀行は支店外のATMのコーナーにチラシを張り付け。「ATMを使って還付金が戻る事はありません」などと注意を促している。
銀行の担当者は「支店内には、利用者が困った場合に備えて人員を配置しているが、支店外のATMは無人。そこに誘い出すという手口が巧妙になっている」と話した。
宮古島署は「今月14、15日と連続して発生して以来、同様な詐欺事件は起きていないが油断は禁物。未遂と見られる事案も1件あり、警戒を強めている」と語った。
市国民健康保険課は、今月17日に特殊詐欺に注意を促す文書を報道機関向けに発表。不審な電話を受けた場合には通報するよう呼び掛けたが27日現在、市民からの相談などはないという。
同課では「還付金については、本人宛に郵送し必要事項を記入することで対応している。電話で指示することは絶対にない」と話している。