働きやすい地域づくりを
障害者就労で意見交換
離島の「働く」を考えるセミナー
新たな精神障害者雇用のあり方について、宮古島から全国に発信しようと「第1回離島の『働く』を考えるセミナーin宮古島」(主催・宮古島地域精神医療保険福祉研究会)が12日、県宮古合同庁舎で開催された。セミナーには、障害者雇用やその働き方について、全国各地でいろいろな取り組みを展開し活躍している人たちが参加。基調講演、研究報告、シンポジウムなどが行われ、障害者雇用の新しい就労の形について意見を交換した。
研究発表では、宮古島出身で離島の精神障害分野の研究に取り組む市役所専門職の波名城翔さんが「離島地域における精神障害者の就労ニーズに関する研究」をテーマに発表した。
波名城さんは、離島における精神障害者の就労状況や、宮古島で働く当事者のインタビューを含めた調査結果を報告した。
先行研究や石垣島での調査でも、精神障害者は島外で発症し帰島するケースが多く、初めての労働が本土で不安定な雇用、劣悪な労働条件のもとで働き、発病する事例などが紹介された。
調査結果としては、56%が島外発症(男性は65%)、そのうち59%が体調不良を理由に帰島している。
今後も宮古島で働きたいと思っている人は86%で、給料については現状と理想とで差があることが示された。
さらに、67%が一般就労を希望しており、就労の際には、相談や外部からの支援体制を望んでいることも報告された。
そのほかにも、西南学院大学社会福祉学科の舘暁夫教授が「宮古島メンタル・リゾートアイランド構想」として宮古島の魅力について紹介。
宮古島の優れている点については、航空機の便があり、すでにある程度の精神医療、保健、福祉資源があるほか、観光地として宿泊資源も豊富であることなどが説明された。
さらに、そうした環境の中でうつ病患者は数カ月間滞在して、最新の精神医療を受けながら、心身を癒やすことが可能で、豊富な自然を利用した各種代替医療やリハビリテーションを積極的に導入することも可能であることなどを紹介した。
セミナーの後半は、「離島の働くを考える」をテーマにシンポジウムが行われたほか、小グループセッションでは離島地域から雇用を生み出す方法についての検討も行われた。
そのほかにも、「沖縄県の精神保健福祉の過去・現在・未来」の演題でボランティア活動支援センターハーネスの永山盛秀理事が基調講演を行い、宮城県栗原市の大場製作所の大場俊孝社長が「精神障がい者の雇用・就労活動の実践報告から25年間の地域活動から」の演題で講演を行った。