島の子孫繁栄願う/下地来間島
「ヤーマスプナカ」始まる
下地来間島の伝統行事ヤーマスプナカが15日、2日間の日程で始まった。初日は3兄弟の家元で子孫の繁栄を祈願する「サラピャース」と「マスムイ」の儀礼が行われた。生後1年未満の子供の誕生を祝って島民が神酒を回し飲み、子孫繁栄とさらなる島の発展を願った。
きょう16日は島の子供たちも参加した棒踊りや奉納踊りが行われ、集落内を練り歩き、向こう1年の五穀豊穣(ほうじょう)を祈願する。
旧暦9月の甲午の日に行われる島最大の行事。その昔に来間島を救い、繁栄させたと伝えられる3兄弟の家元(長男スムリャーブナカ、二男ウプヤーブナカ、三男ヤーマスヤーブナカ)を中心に祭事が行われる。
祭り初日、長男のスムリャーブナカでは午前8時ごろからサラピャースが始まった。
家主の長間盛史さんらが家元で作った神酒を「ピサギ」に入れ、角が二つ、足が四つ付いた祝い皿(ツヌザラ)に注ぎ住民に振る舞った。
島の関係者が子宝に恵まれた1年を祝い神酒を回し飲む間は、老若男女を問わず全員で神詩を歌い、生まれた子供の健やかな成長を願った。
この後、マスムイが行われ、ここ1年で生まれた子供10人が紹介された。父親らがあいさつに立ち、新しく生まれた命を島全体で温かく見守ってくれる島民の気持ちに感謝の言葉を述べた。
6カ月の優理君をお披露目した浦添市の山里愛香さんは「母が来間島の出身で最初の子どもの時も参加した。昔から伝わる伝統の祭りに参加できてとてもうれしい。3番目が生まれたときもまた、みんなに祝ってもらいたい」と話した。
平良市在住の垣花佑紀さんと愛さん夫婦は7月29日に生まれたばかりの長男・栄翔君を紹介。垣花さん夫婦は「子どもの誕生をみんなが一緒に喜んでくれるのがとてもうれしい。みんなに祝福されたので元気で健やかに育ってくれると思う」と述べた。
家主の長間さんは「今年も昨年に続いて2桁10人の報告があり、とても喜んでいる。子供たちが大人になって島に戻り、ヤーマスプナカを継承してくれればうれしい」と話した。
偶然訪れた観光客らもヤーマスプナカの行事に興味津々の様子で見入り、笑顔いっぱいのお年寄りたちが子どもの誕生を姿に涙する姿も見られた。