食料品 島内消費、半分に減少/大橋開通後の伊良部住民
宮古本島に流出顕著/7割が「安さ」「品揃え」求め
伊良部大橋開通前は8割の人が食料品を島内で購入していたが、開通後は半分の4割に減少していることが伊良部商工会が実施した「島内事業者(スーパーなど)の利用意向に関する島民アンケート」で分かった。特に生活必需品である食料品や生活雑貨の減少率が大きくなっている。外食も5割から3割に減少。伊良部島から橋を渡って宮古本島へ買い物に行く割合が高まっていることが浮き彫りになった。7割以上の人が「安さ」「品ぞろえ」を求めて島外で買い物をしており、品ぞろえが限定されている伊良部島内の商店が苦戦している状況といえる。
アンケートは、大橋開通前と開通後に生活がどう変わったかを把握するため、今年10月に伊良部島に住む100人を対象に実施。伊良部商工会から委託を受けたJTB総合研究所(東京都)がまとめ分析した。
それによると、大橋開通前と開通後を比較して、島内消費の減少率が大きかったのは▽食料品(8割→4割)▽外食(5割→3割)▽生活雑貨(同)▽灯油・ガソリン等(9割→6割)▽医療サービス(4割→2割)▽居酒屋等(8割→6割)-など多岐にわたる。生活に身近な商品になればなるほど、宮古本島への流出が顕著となっている。
島外での消費が増えた理由として7割以上の人が「価格が安い」「商品の品ぞろえが良い」などを挙げ、約半数以上が「店舗の集中」「複数店舗からの選択」といった利便性も理由にしている。
商店などが自宅から近いことや、店員とのコミュニケーションなど、伊良部島内での消費におけるメリットを理由に挙げる意見はほとんどなく、アンケート結果を分析したJTB総合研究所は「それらの利点を補って余りある価値を、『価格の安さ』『品ぞろえ』に求めていることが分かる」と指摘。「『商品の質』や『サービスの質』も理由として挙げられているが、価格や品ぞろえに比べると割合は決して多くはないことから、島外との差別化を図る要素の一つとなる可能性があると思われる」と分析している。
今後、伊良部島の新たな観光のあり方を計画する、伊良部地区観光地整備総合計画策定委員会で、再度、住民アンケート調査を実施し、観光を含めた島内消費の課題や解決策を協議する方針だ。