神酒回し「ヤッカヤッカ」
多良間島で「スツウプナカ」/豊年と無病息災を祈願
【多良間】多良間村の伝統行事「スツウプナカ」が11日、本番を迎えた。前日10日深夜、四つの祭場では暁願いが行われ、男性たちの「ヒヤヤッカヤッカヤッカ」のはやしが夜の静寂(しじま)に響いた。参加者らは角皿(つのざら)で神酒を回し飲み、多良間世を盛大に祝った。ほとんどの成人男性が参加し、島は祭り一色に染まった。11日は昼からナガシガーを皮切りに、ツカサら招待客が四つの祭場を回った。多良間の八月踊りと並ぶ島最大の行事で、1983年に村の無形民俗文化財に指定された。
10日午後10時すぎ、ブシャ座で作られた神酒と、暁願いに必要な物資が老座に運ばれ供え物が用意された。パイジュニの中老たちが洞窟近くのフシャドゥガー(井戸)近くに降り、神酒などを供えた。
その後、祭場に移動し、神歌を唱和した。同日深夜、各祭場では青年たちが神酒が入った角皿を盆に載せ、ゆっくりとゆらしながら「ヒヤ、ヤッカヤッカヤッカ」とはやしながら神酒を回し飲み、祭りは佳境を迎えた。
祭場はパイジュニ、ナガシガー、フダヤー、アレーキの4カ所で、それぞれ役割の座があり、60代以上の老人座、50代の中老座を中心とした祭祀運営を司る幹人座、供え物など料理をするクバン座、祭祀用の魚類を獲るイム(海)座で構成される。
この祭祀は多良間島、水納島の貴重な文化遺産として受け継がれているが、その起源は不明という。伝承によると当初は1カ所で行われていたが、後に現在の4カ所で行われるようになったといわれている。