勇壮、優雅に「マストリャー」/上野野原十五夜行事
満月の下で豊年祈願/2年ぶりの開催喜ぶ
上野野原の伝統行事「野原のマストリャー」が旧暦8月15日の十五夜に当たる15日夜、野原公民館で行われた。満月の月明かりの下、男性は豪快な棒踊りを披露、女性は優雅な舞を奉納し、向こう一年間の五穀豊穣(ほうじょう)を祈願した。昨年は台風の影響で中止となり2年ぶりの開催となったことから、会場の公民館には多くの地域住民と観客が訪れ、脈々と受け継がれてきた伝統の行事を見守った。
午後10時を過ぎたころ、集落内の子組、寅組、午組、申組の4カ所の升元で酒宴を開いていた男性らが野原公民館に集合し、今年のマストリャーが幕を開けた。
台風16号接近の影響で開催も不安視されていたが、夜空には満月が輝き、会場を月明かりで照らした。
男性は勇ましい掛け声とともに棒を打ち鳴らし、女性はクバ扇や四つ竹を手に優雅な舞を披露した。
屈強な男性たちが荒々しく棒をたたく音が響く中、女性たちは静かに流れるように舞い、円を描くように踊り続けて豊作を祈願した。
公民館に訪れた住民や観光客たちは、心地よい秋風を受けながら十五夜の夜に300年続くといわれるマストリャーの世界を堪能した。
野原部落会の島尻信徳会長は「昨年は台風で中止になり、今年も台風接近で心配していたがきれいな満月の下でマストリャーが開催できることをうれしく思う。地域に受け継がれてきた素晴らしいマストリャーをこれからもしっかり継承していきたい」と意気込みを示した。
マストリャーは国選択および市指定の無形民俗文化財。語源は穀物が税だった時代に「升取屋」と呼ばれる升元にこれを納めていたことに由来する。祭りは税の完納を喜び、来る年の豊作を祈願して行われるようになったと伝えられる。