子孫繁栄と島の発展願う/下地来間島
「ヤーマスプナカ」始まる
旧暦9月の甲午の日に行われる下地来間島最大の伝統行事ヤーマスプナカが3日、2日間の日程で始まった。初日は3兄弟の家元で子孫の繁栄を祈願する「サラピャース」と「マスムイ」の儀礼が行われ、生後1年未満の子供の誕生を祝って島民が神酒を回し飲み、子孫繁栄と島のさらなる発展を願った。きょう4日は「雨乞い座」と呼ばれる広場で島の子供たちも参加した棒振りや奉納の踊りが行われ、島民の無病息災と五穀豊穣(ほうじょう)を祈願する。
ヤーマスプナカは、その昔に来間島を救い、繁栄させたと伝えられる3兄弟の家元(長男スムリャーブナカ、二男ウプヤーブナカ、三男ヤーマスヤーブナカ)を中心に祭事が行われる。
祭り初日、二男のウプヤーブナカでは、午前8時ごろから「サラピャース」が始まった。
子宝に恵まれた1年を祝って家主の砂川輝夫さんらが、住民に神酒を振る舞った。
島の関係者が神酒を回し飲む間は、老若男女を問わず全員で神詩を歌い、生まれた子供の健やかな成長を願った。
この後、マスムイが行われ、ここ1年で生まれた子供4人が紹介された。父親らがあいさつに立ち、新しい命の誕生を島全体で祝ってくれる島民の気持ちに感謝の言葉を述べた。
4月4日に生まれた奏夢(そら)ちゃんをお披露目した那覇市在住の佐久田愛美さんは「初めて参加した。子供を参加させたことでみんながこうして喜んでくれているのでとてもうれしい。これからも子供が生まれるたびにぜひ参加したい」と笑顔で話した。
家主の砂川さんは「今年もこうして盛大に開催できることが最高の喜び。これからも子孫繁栄、島の発展のためにヤーマスプナカをしっかり継承して地域の活性化につなげていきたい」と述べた。
3兄弟の家元では、笑顔いっぱいのお年寄りたちが子どもの誕生を祝う姿と笑い声が響き、島はヤーマスプナカ一色となった。
2日目は「雨乞い座」で、3兄弟の一族が棒振りを披露し、郷友会のメンバーらと共に五穀豊穣、無病息災、子孫繁栄を願う。
また、今年も島内で喪中の家が多いということで、島内を練り歩くパレードは2年連続で中止となった。