御嶽にトイレ整備を/神と森シンポ
ツカサの輪番制も提言
「新里の神・人・自然」をテーマにした第24回講演とシンポジウム(主催・宮古島の神と森を考える会、新里自治会、宮古伝承文化研究センター)が26日、上野地区の新里公民館で開かれた。参加者からは「女性のツカサ(司)たちが籠もって神に祈る御嶽には水道・トイレ整備が必要」「ツカサの選出は年齢を決めて輪番制(ツカサを交替する)にしておけば、一度はやらなければならないという気持ちになる」などと提案・提言した。
考える会会長で明治大学教授の居駒永幸さんは「夏と冬の神歌」と題して基調講演した。居駒さんは「狩俣の祭祀では、ナツブーイ(夏穂祭り)という粟の収穫感謝祭とフユウプナー(冬の先祖祭り)に二分している。宮古島では少なくとも夏と冬の二季が祭祀のサイクルだった」と古層の季節観を説明した。
考える会事務局長の佐渡山安公さんが「新里の祭祀」と題してビデオを上映。古くは年前の世乞い祭祀や豊年祭などが映し出された。貴重な映像には今は亡き友人や住民らが活躍し、参加者から感嘆の声が上がっていた。
関西学院大学教授の島村恭則さんが「『伝承』とのつきあい方」と題して講演した。島村さんは「伝承は地域の人々にとって、地域のアイデンティティーや誇り、自信を育み、表現する。そして有用かつ必要なもの。それゆえに主体的に選択・活用され絶えず創造されてきた。伝承は人々の幸せのためにある」と力説した。
パネル討論の司会は居駒さんと佐渡山さんが務めた。パネラーは島村さん、高橋皓子さん(元近畿大学芸術学科教授)、根間忠彦さん(カンカカリャ)、地元から新里幸俊さん(新里自治会長)、新里一志さん(現ピューイヌ主)、川満則子さん(現ユーザス)、川満悦子さん(現司屋ウプンマ)の7人。
「新里の祭祀の現状と課題」をテーマに活発な意見・提案があった。
新里幸俊さんは「ツカサを誕生させるのは自治会長の仕事であり、しかしなり手が少ないから大変。ツカサや部落行事を絶やしてはいけない」と述べ、現ツカサらの頑張りに感謝した。
新里一志さんは「ツカサたちの負担を減らすことはできないかと考えて、年3回あったムルンを2回に、ミズダミは2回を1回に、ムギプーイ、アープーイ、芋ダミなどをまとめてムズフイ(農作物)ニガイと改めた。33回あった行事は28回まで減らした」と語った。
川満則子さんは「部落のために、自分たちの健康のためにと喜んでやっている」と話した。