寄贈ピアノで絆確認/西辺中と大穂さん
台風14号被害時に寄贈
2003年に宮古島全体に甚大な被害をもたらした台風14号。各学校でもその影響でピアノなどの楽器が被害を受けた。当時、平良市と友好都市交流を結んでいた世田谷区の区民吹奏楽団副理事長だった大穂孝子さんが西辺中学校に寄贈したグランドピアノが現在も現役で活躍している。寄贈者の大穂さんが5日、同校を訪問し、生徒たちと交流しながら寄贈に至った経緯などを説明。さらに、このピアノで同校の生徒が合唱を披露し、優しさでつながった絆を再確認した。
この日は、大穂さんと当時、同楽団の理事だった久留島了さんが同校を訪れた。
大穂さんによると、台風14号直撃から約1週間後に宮古に訪れた際に、池間島の学校で教室が塩で真っ白となって、音楽室などの楽器が使い物にならない状況に衝撃を受けたという。
東京に戻った大穂さんと久留島さんは、宮古へのピアノを届ける運動を展開。区の広報で世田谷区民にピアノの寄贈を呼び掛けた。
その結果、グランドピアノやアップライトピアノが寄せられて、宮古の各学校や公民館などに贈呈された。
このうち、大穂さんが寄贈したグランドピアノは西辺中に届けられ、現在も各種イベントや音楽の授業などで活躍している。
寄贈したピアノの音色に合わせて合唱する生徒たちの歌声が大穂さんと久留島さんを出迎えると、大穂さんは大喜びで「素晴らしい」と感想を述べた。
さらに、自らも指揮で生徒たちの合唱の練習に参加。ピアノの旋律に合わせて息の合ったハーモニーを披露した生徒たちに大きな拍手を送った。
寄贈したピアノが宮古島で現在も活用されていることについて、大穂さんは「こうしてきれいに使ってもらって本当にうれしい。さらに、子供たちの素晴らしい歌声も聞けて良かった」と笑顔で話した。
生徒を代表して伊良部心優さん(2年)が「このピアノは、入学式や卒業式などのほか、ピアノが弾ける生徒の練習に大活躍している。寄贈してくれて本当にありがとう」と感謝の言葉を述べた。