下地市長「条例必要ない」/申請代表「根拠おかしい」
住民集会開催
学校統廃合の住民投票条例制定に向けての住民大集会が14日、JAおきなわ宮古地区本部大ホールで開かれた。学校統廃合計画に関する住民投票条例制定の請求代表者である岸本邦弘さんと近角敏通さんがこれまでの経過や思いを語ったほか、条例案と共に市議会へ提出された同条例制定は必要ないとする下地敏彦市長の意見書の内容を紹介し、「根拠がおかしい」との見解を示した。
岸本さんらは今回、署名活動を行い条例制定請求に必要となる全有権者の50分の1以上を上回る1962人の有効署名を集め、下地市長に条例制定を申請。それを受け下地市長は市議会に臨時会を19、20日に開催することを通告し、条例案と共に市長の意見を述べる意見書を提出した。
意見書では、学校規模適正化に関しては市教育委員会に「市立学校規模適正化基本計画」があり十分に機能している▽伊良部地区、城辺地区の統合校設置条例は議会で可決されていて市民の代表である市議会で真摯(しんし)な議論の上、すでに市民の意思は示されていて、改めて住民投票で賛否を問うことは適切でない▽文部科学省は「学校規模適正化に関する手引き」で学校規模の適正化については学校が持つ多様な機能にも留意し、学校教育の直接の受益者である児童生徒の保護者や将来の受益者である就学前の子供の保護者の声を重視しつつ、地域住民の十分な理解と協力を得るなど地域と共にある学校づくりの視点を踏まえた丁寧な議論を行うことが望まれるとしていて、その趣旨からも適当ではない-などを理由に挙げ、住民投票条例を制定する必要はないとの考えを示している。
集会で近角さんは市長意見書を紹介し、教育委員会の基本方針が機能しているとの主張に対し「学校と密接な関係にある住民への十分な説明と合意の確認は必要。基本方針が十分機能しているか住民が評価するためにも(住民投票は)必要」。統合校設置条例は議会で可決されているため住民投票は適切でないとの主張には「地域の重要課題に対する説明、直接の住民意思の確認は議会の民主主義をより豊かにする」。文科省の手引きの趣旨から必要ないとの主張に対しては「文科省の見解を踏まえれば住民投票条例は必要」と下地市長の主張に反論し、「どう考えても根拠がおかしい。必要ないとの結論はあり得ない」と訴えた。
岸本さんは「一度決めたことでも間違っていたら直さなければいけない。住民が声を上げたのに主役である住民の声に議会がノーと言ってはならない。地域の力を信じて取り組んでいきたい」と語った。そのほか、城辺、伊良部地区からの参加者が学校統廃合に反対意見を述べたほか、最後は全員で「条例を通すぞ、オー」と気勢を上げ条例制定を祈念した。