故郷で英気養う/第八永盛丸出港
五色のテープで見送る
静岡県沼津市の遠洋カツオ・マグロ一本釣り漁船「第八永盛丸」(499㌧、友利文男漁労長ら乗組員29人)は17日午前、友利漁労長(49)の出身地である佐良浜から訪れた住民らの五色の紙テープに見送られ、平良港を出港した。快晴の下、漁船には色鮮やかな大漁旗が掲げられ、同県焼津港に向け、北進した。住民らは、乗組員の無病息災、航海安全、大漁を願った。
第八永盛丸は鋼船で全長約65㍍、最大幅約10㍍、エンジンは2000馬力。昨年は2129㌧の漁獲量を上げ日本一に輝いた。日本一は通算2回目。寄港時点の乗組員は日本人13人、キリバス人10人、インドネシア人6人。
大漁に導くリーダーの漁労長は船頭とも呼ばれ、船長と区別される。漁獲高からの配当金は船長より高い。
第八永盛丸は友利漁労長の指揮の下、佐良浜の守護神の大主神社と住民への感謝・お礼を目的に15日、平良港に一時寄港した。友利漁労長と同じ出身地の喜久川孝博さん(58)が乗組員として働く。友利漁労長は乗船7年目、喜久川さんは乗船2年目。
出港式(主催・伊良部漁協)では、バレーボールで活躍する佐良浜クラブの子供たちが「祈安全航海」と大書された横断幕を掲げ、盛り上げた。漢那一浩同漁協組合長(代読)が「航海安全と大漁を祈る」と強調。次いで佐良浜出身の佐久本洋介市議会議長らが乗組員らを激励した。
友利漁労長は「先日の素晴らしい出迎えと本日の見送りに船員一同感謝している」と述べた。
佐良浜婦人会がそろいのマドロス衣裳で踊り、全乗組員らを元気づけた。
ボランティア組織の沖匠ビーチクリーンズが友利漁労長に航海安全を願う横断幕を贈呈した。
友利漁労長の母・初枝さん(75)は見送りに訪れ「伊良部の皆さんが息子のためにお祝いしていただき、とてもうれしい」と感謝していた。
出港式前に松永聖矢船長(30)は「寄港中、佐良浜では多くの人と一緒に踊り、1年間海の上で奮闘した心と体が癒やされた」と笑顔で語った。
第八永盛丸は毎年5~8月はビンチョウマグロを漁獲し、9月以降は南方漁場でカツオ操業を展開する。今回の操業ではカツオ約300㌧を漁獲した。