「ヤッカヤッカ」響く/多良間村
盛大にスツウプナカ/村の繁栄と豊年祈願
【多良間】月明かりの下、島にはやし響く-。多良間村の伝統行事「スツウプナカ」が1日、本番を迎えた。前日の4月30日深夜、四つの祭場では暁願いが行われ、男性たちの「ヒヤ、ヤッカ、ヤッカ、ヤッカ」のはやしが厳かに響いた。参加者らは角皿(つのざら)で神酒を回し飲み、多良間世を盛大に祝った。島が祭り一色に染まった1日は、昼からナガシガーを皮切りに、ツカサら招待客が四つの祭場を回った。
30日午後10時すぎ、ブシャ座で作られた神酒と、暁願いに必要な物資が老人座に運ばれ供え物が用意された。パイジュニの中老たちが洞窟近くのフシャドゥガー(井戸)近くに降り、神酒などを供えた。
その後、祭場に移動し、神歌を唱和。同日深夜には各祭場で青年たちが神酒の入った角皿を盆に載せ、ゆっくりとゆらしながら「ヒヤ、ヤッカヤッカ」とはやしながら神酒を回し飲み、祭りは佳境を迎えた。
狩俣秀男さん(81)は「昨年は豊作だったので今年も豊作と村民の健康を願った。天気に恵まれ作物がしっかり育つ1年になってほしい」と話した。
祭り本番の1日は、各祭場で伊良皆光夫多良間村長らが今年一年の豊作と村民の健康を願って「ヤッカ、ヤッカ」のはやしを島全体に響かせた。
あいさつで伊良皆村長は「互いに健康でこうしてスツウプナカを迎えることができてうれしく思う。村は2年連続で良い年だったので今年1年も素晴らしい年になることを期待している。きょうはみんなで喜びを分かち合いながら楽しみたい」と話した。
祭場はパイジュニ、ナガシガー、フダヤー、アレーキの4カ所で、それぞれ役割の座があり、60代以上の老人座、50代の中老座を中心とした運営を司る幹人座、供え物など料理をするクバン座、祭祀用の魚類を獲るイム(海)座で構成される。
この祭祀は多良間の八月踊りと並ぶ島最大の行事で、1983年に村の無形民俗文化財に指定されている。
その起源は不明だが、伝承によると当初は1カ所で行われていたが、後に現在の4カ所で行われるようになったといわれている。