十五夜に伝統の舞/上野野原
男女で織りなす「マストリャー」
上野野原の伝統行事「野原のマストリャー」が十五夜の24日、野原公民館の前庭で行われた。男性は勇壮な棒踊り、女性は四つ竹やクバの扇を手に優雅な舞を奉納し、向こう一年間の五穀豊穣(ほうじょう)を祈願した。
マストリャーは旧暦8月15日の野原で行われる伝統行事。人頭税時代に穀物で税を「桝取屋」と呼ばれる升元に納めていたことに由来するといわれている。
午後9時30分ごろ、4カ所のマスムトゥで直会を開いていた男性らが、野原公民館に続々と集まり、同10時すぎに幕を開けた。
前庭で男性たちが勇ましい掛け声とともに、迫力ある棒踊りを披露。女性たちは前列はクバ扇、後列は四つ竹を手に優美で静かな踊りで豊作を祈願した。最後は参加者全員でクイチャーを踊った。
この伝統行事を取り仕切る野原自治会の渡久山隆会長は「このマストリャーは市と国の無形民俗文化財でもある。300年以上前から伝わっている伝統行事なので、後世につなげていくためにも、続けなければいけないので、責任を感じる。無事に終わってくれればほっとする」と滞りなく、進む行事を見守っていた。
女性の踊りに参加して5回目となる野原出身の奥平咲野香さん(36)は「子どものころから見ている。はじめは大人のまねをするだけだったが、そのうち意味を考え、思いながら踊るようになった。普段聞き慣れている音楽とはリズムが違うので、リズムを取るのが難しい。伝統行事なので、後世に伝えなければいけないという気持ちが強い」と語った。
この伝統行事を見ようと、地域の人はもちろん、島内外からも多くの人が、会場となった同公民館に集まり、伝統行事を楽しんでいた。