地域守るため保存、継承/大会宣言を採択
宮古島で方言サミット/基調講演も
宮古語(方言)をはじめユネスコから消滅の危機にあるとされた国内8言語・方言の研究者や話者らが参加する2018年度危機的な状況にある言語・方言サミット宮古島大会(主催共催・文化庁、宮古島市ほか)が24日、マティダ市民劇場で開かれた。国立国語研究所長による基調講演などが行われたほか、「私たちの存在理由を守るために、私たちの言語や方言を保存、継承していく」などとする大会宣言を採択した。
基調講演では国立国語研究所の田窪行則所長が「ことばと生きる ことばを残す」と題し、宮古語が消滅の危機となっている原因や、残すための方策などを語った。
日本では標準語と関西弁以外の言語・方言はどれも消滅の危機にあるとの認識を示す田窪所長。宮古語の場合、方言が禁止され標準語を使うよう教育された歴史や、使う場面が限定され、方言の敬語や改まった言い回しを学ぶ機会が減少したことなどから消滅の危機にひんしていると語る。
学校教育に方言を取り入れたことで保存に成功した海外の事例を紹介する一方、宮古島の場合は市内中心部と池間や多良間などでは言葉が異なり、どこの言葉を選択するかが問題になると指摘した。
田窪所長は「今のままでは確実に消滅する」と訴え、「消滅させないためにはとにかく使うしかない」と強調。「子供に対し、おじいやおばあに使ってもらう。若い人ならたくさん聞けば使えるようになる」との考えを示すとともに、高齢者が方言を話しているところを撮影し、インターネットの動画サイトへ投稿して、それを教材として見ることなども推奨した。
閉会式では「世界では今、人類を形成してきた文化が失われようとしている。私たちはその人類形成の経過を物語る言語や方言を守らなければならない。宮古は発信する。島々へ、日本の各地域へ、そして世界へ。私たちは私たちが生まれ育った地域、そして私たちの存在理由を守るために、私たちの言語や方言を保存、継承していく」などとする大会宣言を採択した。
開会式では久松中学校3年の狩俣良眞君が開会宣言を宮古方言で行ったほか、文化庁国語課の高橋憲一郎課長、県文化観光スポーツ部の嘉手苅孝夫部長、宮古島市の下地敏彦市長が主催・共催者あいさつを行った。