家賃値上げ「正当な理由必要」
相談増で特別講座
20人参加、弁護士助言
宮古島市で相次ぐ共同住宅(アパートなど)の家賃の値上げで、県消費生活センター宮古分室は25日、市働く女性の家で特別講座を開いた。法テラス宮古島法律事務所弁護士の長尾大輔さんが講話し、家賃の値上げには正当な事由が欠かせないと指摘。借り主は直ちに応じる必要はないと助言した。その上で、家賃の値上げや契約解除の通知に対応する際には借地借家法を活用するよう促した。
今回の特別講座は、消費生活センター宮古分室に家賃の値上げに関する相談が増えていることを受けて開かれた。約20人が来場して弁護士の助言を聞いた。
長尾さんは、貸し主と借り主の力関係について「どうみても大家(貸し主)の方が強い」と話し、この力関係を調整するのが借地借家法だと主張した。
家賃の値上げに応じないことなどを理由とする契約解除に関しては、1年前か半年前に貸し主から通知がなければ「従前の条件で契約されることになる」と説明した。ただし、「半年前に通知されれば出て行かなければならないかといえばそうではない。1年前、半年前の通知でも、貸し主は正当な事由がなければ契約解除ができない」とした。
正当な事由には▽貸している家を自分が使う▽賃貸借状況(家賃の滞納や借り主の利用状況)▽老朽化など建物の現況▽立ち退き料を支払う-を挙げた。
契約期間中の値上げ通知については、「契約の期間に縛られず、増減の請求権はある。ただし、根拠は必要になる」と述べた。
根拠説明を受けても納得できず、貸し主との協議がまとまらない場合は「借り主が相当と思う額を支払えば良い。裁判で確定するまで賃料の未納ということにはならない」と話した。
家賃の値上げで貸し主が取る強硬手段として「(従前の)家賃を受け取らないというケースがある」と紹介し、「払わないと未払いになるため絶対に避けなければならない」と注意を促した。対応策は「供託金として家賃を法務局に納めるという方法がある。こうすれば法的には払っていると評価される」と話した。
長尾さんは「借地借家法は貸し主と借り主の力関係を調整する法だが、必ずしも借り主が熟知しているとは限らない。付け込まれないよう相談してほしい」と話し、関係する機関や団体の積極活用を呼び掛けた。